りっく

ジャンゴ 繋がれざる者のりっくのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.3
本作は尺は長いにもかかわらず、タランティーノ作品の中で、最もまともにストーリーテリングした作品ではないか。
要するに、彼の作品の特徴である「駄話」や「脱線」がほとんどない。
それは「西部劇」や「マカロニ・ウエスタン」というジャンルに合わせた結果ではないか。
今まではタランティーノにジャンルを合わせていた印象があったが、本作はそれが逆転している。
きちんと映画的な見せ場を盛り込んだ、タランティーノのパワフルな演出が頼もしい。

だが、タランティーノ作品ならではの楽しさも健在。
特に「腹に一物ある人々の騙し合い」に尽きる。
ここでクリストフ・ヴァルツが輝きを放つ。
何か国語も操れる、状況を上手く切り抜けるトーク力。
それでいて絶妙な胡散臭さ、したり顔、イラッとくる上から目線。
ヤツが画面に現れるだけで、映画に可笑しさと活気が出る。

ラストにカタルシスが大爆発する設定も最高。
アメリカの歴史上、映画史上での不当な扱い。
自由にしてくれた「相棒」の敵打ち。
愛と復讐心と仁義が炸裂する、ジャンゴの見事な佇まい。
ジェイミー・フォックスをはじめ、キャストも嬉々として演じているのが伝わってくる。
「ざまあみろ!」という着地ほど、爽快な結末はない。
過剰な暴力と血飛沫に彩られた、最高のエンターテインメント。
りっく

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