キャッチ30

ジャンゴ 繋がれざる者のキャッチ30のレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
3.8
 「ジャンゴ」のテーマが流れた時、『続・荒野の用心棒』のジャンゴが棺桶を引きずって現れる。一方、今作の主人公であるジャンゴは半裸で鎖に引きずられて登場する。

 南北戦争直前のアメリカ南部。黒人奴隷のジャンゴはドイツ人で元歯医者の賞金稼ぎドクター・シュルツにテキサスの森で鎖を外され、自由の身となる。ジャンゴは妻のブルームヒルダを救い出そうとする。奴隷制度反対派のシュルツはジャンゴに賞金稼ぎの仕事と銃の扱い方を教え、手を貸す。やがて、二人はミシシッピの農園に行き着く。農園の主は冷酷非道なカルヴィンだ。執事は用心深く、陰湿なスティーヴンだ。

 映画は西部劇というより、南部劇と言い換えた方が良い。荒野の場面は少ないし、舞台になるのは綿畑や雪山が多い。何よりも、今作は黒人奴隷制度という問題を扱っている。

 監督のタランティーノはこのテーマへの怒りを娯楽映画として生み出している。KKKのマスクの件は可笑しいし、後半の銃撃戦はジョン・ウー作品を彷彿とさせるし、キャンディ農園での駆け引きはサスペンスを生み出す。本当に怪我してもやり切ったディカプリオの演技は圧巻だ。また、歴史三部作の二作目であることも頭の隅に留めて貰いたい。