アトミ

罪と罰のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

罪と罰(1983年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

83点

食肉センターで働く男ラヒカイネン。
壁のゴキブリを包丁で真っ二つに殺し、牛の解体を始める。
血まみれで動物を解体する姿というのはやっぱり「殺人」とリンク(ほのめかし)するから気持ちのいいものじゃない(よく使われてる手法)。

16時。
勤務時間終了。
清掃。
水を流し掃除する床には肉片が転がり、血は排水口へと流れて行く。

ラヒカイネンは帰宅するその足で、カリ・ホンカネン(家電輸入業を営み、卸売り商協会の理事)という男のマンションへ行き、銃で殺害(やっぱりね)。
ラヒカイネンはホンカネンの死体から腕時計、椅子にかかるジャケットから財布を取り、袋に入れた。

17時15分。
掛け時計の金が鳴る。
デスクに座り、引き出しを開けたり、銀の鳩の置物を手に取り眺めたり、余裕をぶっこいてると、女が部屋に入ってきた。
ケータリング業者の派遣。男の50歳誕生パーティーの準備に訪れたのだった。

ラヒカイネン「何の用だ?」
死体を見た女「どうしたの?」
ラヒカイネン「別に。死んでるのさ。」
女「今日はパーティーよ?手伝いに来た。」
ラヒカイネン「中止だ。俺が殺した。」
唖然とする女。
ラヒカイネン「何してる?警察を呼べ。」
女「彼は何をしたの?」
ラヒカイネン「何もしてないさ。俺には。」
女「行って。早く。」
と、女は冷静にラヒカイネンを追い返し、通報した。

自宅へ戻ったラヒカイネンは物思いにふけ、シケモクに火をつける。


翌朝。
ラヒカイネンの部屋に知人の女が現れた。
ラヒカイネンは昨日、部屋に鍵を取り付け、今日は仕事を休んでいた。
女はそれに違和感を感じた。が、大家が「警察を呼ぶ」と言ってると報告。
ラヒカイネンは慌てた。
が、理由は「家賃滞納」だったため、「明日の朝支払う」ことを女に伝えさせた。

ラヒカイネンは拳銃をベッドに隠し、財布と腕時計を持って出かけ、駅のコインロッカーに隠した。

その頃。
警察では女を重要参考人(犯人目撃者)として事情聴取。
女は「顔を見れば犯人を特定できる。イカれた目をしていた。」と刑事に言った。

その頃。
ラヒカイネンはカフェでスープと水を注文したが、食欲がなかった。
朝刊を手に取る。

その頃。
刑事らは被害者の調査。
別れた妻の証言から、被害者は敵を作るような人間ではなかったが3年前飲酒運転でひき逃げ事件を起こし、告発され証拠不十分で無罪になったという出来事があったと分かる。

その頃。
ラヒカイネンは朝刊の事件の記事を破り、丸める。
と、アパートの同僚でご近所さんがやってきた。
男「サボりか?血のせいだろ?」
焦るラヒカイネン。
男「大家が言ってたぞ。家賃滞納するわ、ブツブツ独り言言ってるわ、気持ち悪がって隣人は逃げた。孤独と運動不足で“血が固まってる”と。ビタミン不足だとも。まぁ仕事は当分休め。理由は“血が耐えられない”と。このままじゃ突然神経も内蔵もイカれるぞ(と本で読んだ)。」と。

ラヒカイネンは店を出る。
テーブルに残ってスープの飲む同僚は、灰皿に丸められた朝刊の記事を読み、ハッとする。

ケータリング業者の女が働く店にやってきたラヒカイネン。
女は知ってる事(犯人の名前以外)は全て警察に話したと言った。
ラヒカイネン「ラヒカイネンだ。店が終わるまで(20時)外で待っている」。

奥にいた社長が困惑する女に声をかけるが、女は「ただのお客さんよ」と誤魔化した。
社長は今夜のデートに誘った。

20時。
閉店ガラガラ。
女は店の前でラヒカイネンと話す(デートも断り、同僚も帰し、1人で接する)。
ラヒカイネンの行動に怯まない女は「明日逮捕されるわ。そうなればいい。」と言った。
ラヒカイネンは「そう望むなら住所を教えてやるから通報しろよ」と煽る。
女はラヒカイネンにビンタ。

女「こんなの楽しい?」
ラヒカイネン「いいや。惨めだ。無事を祈っててくれ。」
女「助けないわ。」
ラヒカイネン「頼んではない。」
女は帰って行った。

部屋へ戻ったラヒカイネン。
スネルマン刑事が待っていた。
殺人事件の参考人として尋問したいと名刺を渡す。
初めは断ったラヒカイネンだったが、明日14時でと約束する(ラヒカイネンは法律を勉強していた事がある)。


翌日。
14時。警察。
ペンナネン刑事とスネルマン刑事がラヒカイネンを尋問。
7月13日水曜日17時~18時のアリバイを聞かれ、16時に仕事を終え、16時30分にコインランドリーに行き(レシートあり)、40分間(洗濯の間)は店の外に散歩に出た。と。
ペンナネン刑事はホンカネン殺人事件について尋ねる。
ペンナネン刑事はホンカネンを「知人か?」と質問したが、ラヒカイネンは「いわゆる知人ではない」と答えた。

と、スネルマン刑事が現れ、コインランドリーの裏付けが取れたと報告した(18時前にラヒカイネンが洗濯物を取りに来店)。
まだ「散歩40分間」の裏付けは取れてないが、ラヒカイネンは「40分もあればオノ買ってぶっ殺せるな!」と凶器が「拳銃」だったことを(わざとらしく)知らないふりをした。
「凶器を知らなかったこと」が無実の証明だと勝ち誇ったラヒカイネン(ならんだろ)。

3年前恋人がひき逃げにあったが無罪。弁護士によると最高裁がダメなら自分で彼を裁くと鼻息荒かったようだが?とペンナネン刑事に聞かれ、ラヒカイネンは「鼻息荒い奴を逮捕してたら刑務所パンクだな」とニヤついた。が、それについては「若気の至り」だと釈明。
殺人については「答えない。そっちで調べろ」
と答えた。

口が達者なラヒカイネンにペンナネン刑事は
最後の手段。
目撃者女を隣の部屋から呼ぶ。
絶体絶命の大ピンチラヒカイネンは思わず立ち上がる。

女「この男じゃない。確かよ。」

2人は帰されたが、ペンナネン刑事はラヒカイネンから目を離すなとスネルマン刑事に指示。

女は社長と車で帰って行く。
車内で社長は「さっきの男」の質問。
女は「容疑者だが、犯人かどうかは秘密。」と返答。
社長は男との「関係」に嫉妬気味だったがプロポーズの件に話題を変える。
女が「返事は前から変わってない(気がない)」と答えると、社長はあーだこーだ愚痴り始める。
女は車から降り、プリップリで歩いて帰って行った。

夜。
BAR。
ラヒカイネンはマスターに偽造パスポートの入手を依頼する。

部屋に戻ったラヒカイネンは上着に付いた固まった返り血をナイフでこぜたり、布で拭いたりしていた。
「血のついた布」をソファ下に隠してみたりするが落ち着かない。
ラヒカイネンはTELし、女を呼び出す。

フェリー。
女は「殺人の理由は彼女」かを質問。
ラヒカイネンは「いけすかないからだ」と誤魔化し答えたが、嘘だと見抜かれる。

ラヒカイネンは女の家まで送る。
女「おやすみ。ラヒカイネン。」
ラヒカイネン「おやすみ。エヴァ。」

ここでやっと女の名がエヴァとわかる。もっと早くに教えてくれよ。
まぁとりあえず奇妙な関係になった2人だが、それをスネルマン刑事はちゃっかり見ていた。
スネルマン刑事はペンナネン刑事にTEL。
ラヒカイネンを泳がせておくことに(まだ決定的証拠がない)。


翌日。
ラヒカイネンは物乞いにロッカーのキーをやる。
物乞いがロッカーを開けた所に2人の警官が現れ、逮捕された(ラヒカイネンがたれ込んで、様子を伺っていた)。

ペンナネン刑事はスネルマン刑事に「犯人は逮捕した」と記者たちに伝えるよう命じる(ラヒカイネンを惑わす作戦)。

ラヒカイネンは車でエヴァを迎えに行き、部屋に招待した。
エヴァは何気なくソファのクッション下に手をやる。
と、隠してあった拳銃発見!とっさに自分のバッグに隠した。
ラヒカイネンがコーヒーを持って来たが「いらない。帰る」と断る。
エヴァはラヒカイネンに自首を勧めた(このままじゃ破滅)が、ラヒカイネンは「もう犯人は捕まった」と答えた。
その会話を聞く隣人。エヴァの会社社長だった。

雨。
エヴァ宅にTEL。
エヴァはホテルの一室へ。
部屋には社長がいた(ドアをロック)。

逃げられないエヴァに対し、社長はラヒカイネンを警察に突き出すか、プロポーズを承諾するかの二択を迫るが、エヴァはプロポーズを受けない。
社長は警察へTELすると脅す。そして本気になれば力強くでもものに出来るとエヴァに近づく。
エヴァはバッグから拳銃を取り出し、構える。
そして引き金を引くが弾が入ってない。
エヴァは銃を捨て、諦めた。
社長はエヴァを抱きしめる。
が、「愛せない」と言われ、エヴァを離す。
鍵を渡し、エヴァを解放した。
社長は銃を拾う。

ラヒカイネンは殺人現場マンションへ。
と、業者が内装工事中。
ラヒカイネンは勝手に入り、血の跡を探すが、業者は「そんなものはない」と言った。

「俺はラヒカイネン。ペンナネン刑事に言え。そしてこの血のついた布を見せろ。」
と言い部屋を出ていく。

街を歩くラヒカイネン。社長と出くわす。
社長はラヒカイネンに「人殺しめ」と言い放つ。
社長を知らないラヒカイネンは混乱し、その場から逃げ出す、
社長は拳銃を取り出しラヒカイネンを追う。
と、やって来た路面電車にはねられてしまい死亡。


翌日。
船で暮らす同僚(以前カフェにいた男)に泊めてもらったラヒカイネン。
男は妹の結婚式でストックホルムへ行くからと、ラヒカイネンを誘い、ラヒカイネンは承諾した。
男は工場(職場)に警察が来たが黙ってたことをラヒカイネンに伝える。

ラヒカイネンはペンナネン刑事に呼び出された。
ペンナネン刑事は昨夜の現場に落ちていた拳銃を見せ、質問したが、ラヒカイネンはあれこれととぼける。
ペンナネン刑事は「お前が真犯人だと確信した!」とラヒカイネンに言い放ったが、スネルマン刑事がやって来て「物乞いが自供した」と伝えた。
ラヒカイネンが部屋を出ると、昨夜の内装工事業者が「血のついた布」を持って、昨夜のラヒカイネンの話を警官としていた。
ラヒカイネンはコソコソと警察を後にする。

夜。
スネルマン刑事がラヒカイネンのアパートにやって来たが、逃亡の形跡あり。

ラヒカイネンはオペラを見た後、エヴァにTEL。
が、エヴァは出ない(居留守)。
ラヒカイネンは車を走らせる(サントライカス)。


夜が明け。
ラヒカイネンは車で同僚を拾い、国境へ。
同僚を一旦降ろし、偽造パスポートで国境を通過。
が、車をUターンさせ、その足で警察署へ向かう。
受付まで行って、やっぱり止めて外へ。
と、エヴァがいた。
ラヒカイネンはニヤリと笑い、また署の中へ。
そして自首する。
今までの怒りか自白を聞いたスネイルマン刑事はラヒカネン腰にスネイルマンチョーップ!
ラヒカネンは床にぶっ倒れる。


刑務所。
面会に来たエヴァ。
エヴァはラヒカイネンを待っている(8年)と伝えたが、ラヒカイネンは待つなと答えた。

ラヒカイネン「俺はどうでもいい男を殺した。虫けらを殺し、自分が虫けらになった。虫けらは虫けらとして残る。それでもいい。俺が殺したかったのは“道理”だ。人じゃない。人殺しは誤りだった。」
エヴァ「でも皆は満足よ」
ラヒカイネン「そんなふうに考えてはいけない。君も俺も。孤独には慣れている。君の人生を生きろ。どうせ死ぬんだ。天国はなくてクモかなんかになるだけだ」

ラヒカイネンは面会室を出て行き、看守と房へと戻って行った。






というお話。
原作未読。
ちょいちょい挟まるサントラ。音楽の使い方(実際ステレオから流れてた音楽だった等)、選曲にセンスを感じる。

セリフよりも表情で語る(基本的には無表情)のも好み。
アトミ

アトミ