罪と罰の作品情報・感想・評価

「罪と罰」に投稿された感想・評価

R

Rの感想・評価

4.1
あの何もかもがすさまじいハイテンションの大傑作、ドストエフスキーの罪と罰、22か23くらいのときに読んで、主人公と一緒に熱病にかかり、何日か寝込んだ。ドストエフスキーの小説はどの作品も読むとき必ず病気になる。ど迫力すぎて呑み込まれてしまうんだろうね。それを呑兵衛のすっとぼけ、カウリスマキがどう料理するのか、興味津々で鑑賞。話の筋も雰囲気もまったくちがうものになっていたが、これはこれで非常に興味深かった。まずオープニング、いきなりガサゴソとゴキブリ…を斧でザクッ、そこは豚の屠殺場で、おつむの天辺から若ハゲ進行中のシリアスマン、ラヒカイネンが肉をさばいている。あの斧、洗われることなくそのまま屠殺に使われるのだろうか、と悶々と考えながら見てると、その後、彼はあるお金持ちの男の家に侵入して、その男を鉄砲で殺害してしまう。ラヒカイネンが殺された男の物品を漁っているところに、女がやってくる。その男はパーティーを開くつもりだったらしく、女はケータリング会社の派遣で、準備のお手伝いにやって来たのだ。彼女の名はエーヴァ。もろの目撃者である彼女を逃してやった彼は、数日後、容疑者の1人として警察に呼ばれ、尋問を受ける。淡白でほとんど感情的な動きがなく、誰もが仏頂面な本作の中で、唯一急激なズームインがあり、ラヒカイネンの顔が汗で光っているこのシーンはとても印象的。そこには事前にエーヴァが呼ばれていて、彼が犯人か、ときかれたエーヴァは、いいえ、違うと答える。一体なぜラヒカイネンは男を殺したのか。なぜエーヴァは彼を犯人と明かさなかったのか。そこら辺を中心に話が進んで行く。とにかくラヒカイネンの行動が不可解で、自分が犯人であることを示すヒントをあちこちにわざと残そうとしたり、そうかと思えば、別の犯人をでっち上げる工作をしたりもする。ほとんど気持ちが読めないため、かなりいろいろ推測しながら見なければならないが、時々流れる場違いなほどパッショネイトでスウィートなロックチューンがひとつのヒントとなる。原作を読んでたので、多分こういうことかな?と思いながら見たが、全く違う作品として見ると、とても不透明。おそらくそこには実存的なモヤモヤが介在しているのであろうこってとは、全体の雰囲気から伝わってくる。エーヴァに関しても、最初はかなり謎めいているが、セリフで内心を吐露するシーンがあったり、多少の人生の事情が描かれるため、まだわかりやすい。よって、フォーカスはラヒカイネンに絞られる。あまり何も考えずに見ると、ポカーーン、となるに違いない。この感じはブレッソンの大傑作ラルジャンによく似てると思う。ぼんやりしてると完全に置いてけぼり食らう。音楽の感じはゴダールっぽかったような。ただ、激震と怒濤のドストエフスキーや、突き放し過ぎて逆に強烈なブレッソンと違って、やっぱカウリスマキらしいなってなるのは、ちょっとしたユーモラスなチグハグ感と、見終わったあとのスウィートで小さくまとまった感じ。何だかんだで結局そっちに話を持っていくんだねーってのが、嫌な感じなく演出できるのは、ある意味この人の真骨頂なのかもしれない。世界の映画の中でも、カウリスマキのフィムモグラフィの中でも、かなり独特な魅力のある一作になっているのではないでしょうか。また見たい。
のん

のんの感想・評価

3.7

シューベルトのセレナーデ(ポップVer)で始まる、アキ・カウリスマキの罪と罰。

原作をやっと読み終えたので改めてレビュー…と思ったら、正直、原作の迫力のせいで本作の記憶がかなり薄れてしまった。

とはいえ、カウリスマキ監督のデビュー作がドストエフスキーの『罪と罰』のリメイクだなんて凄い。その度胸もだし、独自の味わいの「罪と罰」に仕上がってるのはさすが。
まさに"アキ・カウリスマキ"版。
原作読んだので久しぶりに見た。大傑作。アキ作品の中でもトップに好き。
krewksy

krewksyの感想・評価

3.7
アキ・カウリスマキ26歳
デビュー作から無表情でいちいち儀式じみたところがあってやっぱりこの監督好き となった カウリスマキ独特の"間"は物足りなく感じたけれど。。
今でこそ重いテーマでも笑いのエッセンスをまじえているけれど、罪と罰は終始暗いままでそれはそれで良かった
ディー

ディーの感想・評価

3.5
ジャームッシュの映画見てるんだっけ?って錯覚する程に、アキカウリスマキ感がありませんでした。

しかし、役者が一切驚いた顔をしない所は、確かにアキカウリスマキであった…
Kirisshy88

Kirisshy88の感想・評価

2.5
食肉加工場の一労働者ラヒカイネンは、かつての恋人を轢き逃げした資産家家を拳銃で殺害する。そこに偶然、その日のケータリングに訪れた女に目撃されてしまう。彼女はラヒカイネンに一目惚れしたのか、警察に事件を通報するものの真相を話さない。むしろ彼女とラヒカイネンは密会を重ねる。警察は当初からラヒカイネンを容疑者と疑っているが、証拠が上がらず、ついに別の容疑者が自白してしまう。

自白主義の無能警察を逆手に、犯人の一抹の良心を描いた作品。「自白よりも証拠だ」と主張する警察は言葉とは裏腹に初動捜査でラヒカイネンの部屋の捜索を怠り、その後も証拠品には素手でベタベタ触って指紋をことごとく消す杜撰な捜査を繰り返す。さらには参考人の女を脅しレイプまでしようとする。結局、警察は腐敗した無能組織であり、ラヒカイネンの罪悪感と良心と自白によって真相は暴かれる・・・ドストエフスキー『罪と罰』の再解釈作品。

画づくりはカリウスマキの大好きな低所得者層の生活臭溢れるスタイルで警察の無能ぶり腐敗ぶりを批判したシーンの数々も反権力のカリウスマキらしい志向である。私はこうした労働者の社会をリアルに描いたカリウスマキの画づくりや過剰な権力批判のシーンは好みではない。また、禿げあがった、魅力ない中年殺人犯に20歳前後の若い女が一目惚れするという設定に無理があるように感じたのでこの評価。
ドストエフスキー/罪と罰のカウリスマキ版。高校の時授業でやったなぁ。微塵も覚えてないけど。

サブタイトルのラスコーリニコフとは何ぞやと調べると原作の主人公の名前。舞台も原作サンクトペテルブルク(行きたい〜)からヘルシンキへ。原作も読みたくなってきた(授業で読んだハズ)

オープニングの食肉解体工場から不穏。大勢いる作業員の中ただ一人不穏空気が漏れまくっている主人公ラヒカイネン。彼が実業家ホンカネンを射殺し、その現場をケータリングの女エヴァに目撃され物語が展開していく。

ラヒカイネンが犯人だと気づいた警察の敢えて取った行動が深い。動じなかったりビクついたり…じわじわと罪の意識に侵食されるラヒカイネンの機微が、立て続けに2回観てやっと感じられた。

チクタク 時計の音が印象的🕟
デビュー作にスリと同じ原作を選んで似たような手法で撮ったところを見ても、カウリスマキがブレッソン大好きということがよくわかる。

音楽が煩い箇所もいくつかあったけど、こんな初期からバンドの演奏シーン等後々の作品に見られる要素も多くて、既に自分の撮りたいものを確立している強度が確認できた。

ここに緩い空気を追加したらもう今風のカウリスマキ映画が完成するが、言うなれば独創的映像作家花開く前段階の時点で美しいものが拝めて実に気持ちが良かった。

しかし小津にしろブレッソンにしろ、フォロワーの今や代表格とも言える監督のカウリスマキが最初から良い構図の作品を提示する様を見ると、その手本となった彼らがいかに優れた映画監督だったかが改めてよくわかる。
不穏な雰囲気漂うOpeningが最高♬

アンニュイでオフビートな作品♡

もの凄く静かなのに時折入る情熱的な音楽が
感情を揺さぶる。

生活音や物の質感や温度を敏感に感じられる
繊細な作品。

“虫ケラを殺して、虫ケラになった”
smk

smkの感想・評価

3.7
ドストエフスキーとは少し違う
現代の罪と罰。
とてもスタイリッシュだった。

物語が進むごとに
ラヒカイネンの瞳が少しずつ変わって
色んな感情をのぞかせるようになる。 
ラスト、警察署の前でエヴァと見つめあうシーンはズキッとした。
エヴァのヘーゼルナッツ色の瞳が印象的。
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