罪と罰の作品情報・感想・評価

「罪と罰」に投稿された感想・評価

いち麦

いち麦の感想・評価

3.0
(キートス カウリスマキ特集@オーディトリウム渋谷)
アキの初作品。ドストエフスキー原作からテーマを絞り枝葉を削いで大きく翻案。狡猾だが不安定なラヒカイネンの心理変化が見所。脇のマッティ・ペロンパーの存在感が既に十分。
mochi

mochiの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい!罪と罰を映画化するのはかなり思い切った挑戦だと思うけど、とてもよくできていた。罪と罰の原作未読なので許せる側面がもしかしたらあるのかもしれないが、映画単体で評価するという意味では、正直最近観た映画では一番面白かった。
サスペンスといえばサスペンスなので、普通は捕まらないようにする犯人VS捕まえようとする警官という対比があると思うのだけど、この作品は全くそうではないところが良い。ここら辺のことを話の流れで理解していくと、最初のシーンでなぜラヒカイネンが逃げなかったのか、がよくわかるとともに、エヴァの気持ちもよくわかってくる。ラヒカイネンの行動原理は捕まらないことではなく、自首以外の方法で捕まる、もしくは完璧に逃げ切ること。だから、エヴァを殺したり口封じをしたりはしない。なぜなら彼女は高確率でラヒカイネンを捕まえさせることができ、同時に彼を良心の呵責から解放してくれる存在だから。血のついた布を渡すのもそう。自分を誰かが捕まえることを祈っているから。そして一方で逃げきりたい気持ちがある。偽造パスポートやホームレスを嵌めたのはそのため。この二つの揺れ動く感情の機微が描かれていて素晴らしい。エヴァは自分にラヒカイネンの人生が委ねられることを恐れた。だから、ラヒカイネンが自首をする行為の代わりに、ラヒカイネンを警察に突き出すという行為をラヒカイネンがエヴァにさせようとしたときに、拒絶の意思を示し、頬を打った。「私に言わせるなんて」「身代わりにしないで」というのはこのことを指しているのだと思う。そして、エヴァは異性としても惹かれていた。だからこそ、彼自身の良心を信じていたかった。しかし、エヴァはもう一人の男にも巻き込めることになる。ホテルでの会話を見ていると、あたかもエヴァ自身が犯人のようで、彼女自身の秘密を黙っておくか、そうでないか、という話にも見えてくる。まさにラヒカイネンの「身代わり」である。
最後の会話はメッセージをかなり直接伝えていることもあるので、話をわかりやすくし過ぎているとか、安直すぎるとか思う人もいるかもしれない。私は、すごく好きなシーンでした。「殺したかったのは道理」。すごく納得した。何かの理由に基づいて行為する。愛や良心に従って行為する。こうした道理を殺すための手段として一連の行動はあった。相手は本当にどうでも良かった。理由などない。ただ人々がいかに道理に縛られているかを確認し、殺しに理由があると考えていることを証明するために、自分の恋人を殺した人物を選んだ。自分が捕まるかどうかもどうでも良かった。捕まらないために行為することを第一にすることはまさに一般的な道理だから。だから部屋に居続けた。それでも彼自身はやはり良心に耐えることができなかった。この結末が面白い。彼自身は「罰」に耐えることはできなかった。「罪」は認められてないが「罰」がある。最高の不道理だ。だけど、彼は「罪」が認められていないが、認めらることを求めた。彼自身が「罰」は「罪」に付随すべきだ、という道理に従わなければならなくなってしまったのは、皮肉なことである。
TAKAHIRO

TAKAHIROの感想・評価

3.7
かつては法学生だった男は、ある日殺人を犯す。警察はある情報をもとに事件を怨恨の線から洗い出そうとするが、 容疑者の男は逃げも隠れもせず、まるでゲームのように警察の追求をかわす。原作はロシアの文豪ドストエフスキーによる傑作「罪と罰」。
drymoon

drymoonの感想・評価

4.5
アキ初長編、静寂の中に力強さ、気合入ってる。面会での会話はシビれた
kaho

kahoの感想・評価

4.5
アキ・カウリスマキの処女作。
雰囲気に非常に惹かれた。
「人ではなく道理を殺したかった」という台詞が印象的。
ラヒカイネンの二面性が人間味があって良かった。
ゆき

ゆきの感想・評価

3.5
アキ・カウリスマキ監督の処女作。

原作未読なのでどこまで忠実なのかはわかりませんが、この時からすでに監督の世界観は完成されています。

人ではなく道理を殺したかったというセリフが印象的でした。
natsuko

natsukoの感想・評価

4.0
はじめてのアキカウリスマキ
そして彼のデビュー作
村上春樹がよくカウリスマキ兄弟について語るからずっと観たかった

虫ケラを殺したから自分も虫ケラ

彼は優しい人間だっただろうに。
悲しい
社会的にも弱い立場である彼がすごいジョーカーぽい
m

mの感想・評価

-
アキカウリスマキの映画は2000年以降のものしか見たことがなかったが、会話のリズム感はこのデビュー作から一貫して同じでとても好きだった。
マルック・トイッカ、狼たちの午後の時のジョン・カザールと少し重なる。
細かいところだけどエヴァが働くお菓子屋さんの包みがかわいらしかった。白い箱に青と白の配色の紐で持ち手を作るように結ぶ。簡易的かつ、素敵。
パック

パックの感想・評価

3.8
エヴァは実業家が殺される理由に心当たりがあったからこそラヒカイネンに同情したのかもな。

彼の殺害の動機は僕にもエヴァにもよくわからない。「殺したかったのは道義だ」って言われてもなー。

不条理を作り出す根源である「道義」を失った彼にとって、人殺しは虫ケラを殺すことと同じだと思ったのかな。エヴァと関わることで何か心変わりがあったのかもな。

マッティ・ペロンパーの肩が外れたような腕の動きが面白かった。
DZ015

DZ015の感想・評価

3.4
「元気?」
「さっきまではな」

“負け犬三部作”をはじめ、過酷な人生を飄々と生き抜く人々を描くことが多いフィンランドの奇才監督アキ・カウリスマキ。ご時世の影響か、やたら観たくてコンプリート中。こちらの長編デビュー作はドストエフスキーの古典文学『罪と罰』の翻案。まだユーモア少なめのサスペンスながら映像的には完璧にカウリスマキな仕上がりなのが凄い。
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