Finn

きみの瞳(め)が問いかけているのFinnのレビュー・感想・評価

4.0
彼女の瞳が問いかけている。僕は答えなければ。

"光の魔術師"こと三木監督が描く、韓国映画「ただ君だけ(Always)」のリメイク作品。
暗い過去を持つ主人公と、目が不自由ながら明るいヒロイン。過去を乗り越えて2人が見る未来とは。

普段は邦画観ないし、純愛系のラブストーリーも苦手な私だけど、公開前にCMで流れていた予告になぜか惹かれて公開初日に観たら、予想以上に良くて泣いた思い出。
金木犀の香りがするこの時期になると、毎年思い出して観たくなる。

ストーリーはオリジナルとほぼ同じだけど、主人公の背負うものがオリジナルより重くて絶望感が強い分、ヒロインに出会って心を開いていく過程や、彼女のために自分を犠牲にする決断に説得力があった気がする。そしてラストもより感動して号泣。

横浜流星さんの暗い目が、序盤からとても印象的。キラキラした恋愛物とか正義感の強い役のイメージがあったけど、こういう暗いバックグラウンドを持つ役が上手で意外だった。
キックボクシングのシーンがリアルで迫力凄くてびっくり!格闘技の経験があると聞いて納得。対戦相手はみなさん本物のキックボクサーだそうで、恋愛映画とは思えないほどのリアルな試合シーンが見れます。

吉高由里子さんすごく好き!目とか眉の動かし方とか、本当に目が見えてない人みたいに見えた。手術成功して目が見えた瞬間の表情とか、涙のお芝居が素晴らしかった…。
何回か泣くシーンがあるけど、全て泣き方が微妙に違って、役の心情に合わせた涙が流せるってすごい。

そして風吹ジュンさん演じるシスターの、包み込むような優しさと暖かさ。登場シーン少ないのに、セリフのひとつひとつが胸に響きました。

本作を先に観たけど、オリジナルを観ると両作それぞれの良さと違いが分かって、より面白い。よくこれだけ似た演出ができる建物とかロケ地を見つけたなと感心するし、舞台を日本にしても違和感がないように微妙に変えた設定が上手いなと思った。
オリジナルはおじさんだけど、本作では主人公が年下なのもストーリーへの印象が大きく異なる要因かも。観る人によって好みが分かれそう。

今や世界のBTSが歌う、本作のために書き下ろした主題歌「Your eyes tell」がまた良いんだよなぁ〜作品にぴったりで。劇中とエンドロールで2回流れるけど、全然違う感情が溢れてどっちも泣きました。

オリジナルは全体的に暗い印象だけど、この作品は映像に光の美しさと暖かさがあって違う良さが出ていると思う。
王道ラブストーリーだけど甘すぎず、辛くて苦しいけど感動して、最後は希望を感じられる素敵な作品です!
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