EDDIE

オフィシャル・シークレットのEDDIEのレビュー・感想・評価

4.0
勇気ある告発。国家最高機密の“嘘”をリークし有罪判決を被る覚悟。あなたに同じことができるか。エンタメとしてドラマチックさに欠けるが、終始緊張感に包まれた構成と演出に唸る。実話と考えると映画化した事実に拍手喝采の秀作。

観たい作品が増えてきた中で観ようかどうか迷った本作。ただ私自身がキーラ好きで、かなり硬派で社会派な作品ということもあり使命感で観てまいりました。
いやぁ参りました。結末は言いませんが、最後は固まるほどの緊張の糸が急激に解かれる感覚で、あまりにもアッサリだったんですね。ただそれが実話と考えると衝撃的な展開で。映画としてエンタメとして考えるとそのアッサリさに物足りなくも感じるのですが、エンドロール前のラストシーンに全部持ってかれるんです。物凄く救われた気分になるんですね。

キーラ・ナイトレイが演じるのはイギリスの諜報機関GCHQで勤務するキャサリン・ガン。ブッシュ政権時、不必要なイラクとの戦争が巻き起こりました。ブッシュ版「大統領の陰謀」とも言うべきでしょうか。当時はサダム・フセインの名前を日本のニュースでも嫌というほど聞いていましたが、どんなにフセインが“悪”であろうと、イラクの国民は何の罪もありません。なのにアメリカが仕掛けた戦争で数十万〜100万人ほどの人が亡くなっています。
彼女の告発は“正義”と捉えるか、“スパイ行為”と捉えるか、それがどちらであれ、彼女は“人として”正しいことをしたと言えるでしょう。

キーラの正義感に溢れ、自分の信念を曲げないキャサリン・ガンになりきった演技は素晴らしく、共演したレイフ・ファインズ演じる人権派弁護士のベン・エマーソンも存在感が半端なかったです。
さらにはマット・スミス演じる記者のマーティン・ブライトもとても良かった。
役者陣の素晴らしい演技も相まって終始緊張感に包まれたスリリングな実録映画になっていました。
本作のような形で裁判にかけられたキャサリン・ガンという有罪判決も厭わない勇気ある行動をとった人物がいたという事実を知る意味でも観る価値がありました。

本作とセットで『記者たち 衝撃と畏怖の真実』を観るとより理解度も増す社会派な作品です。

※2020年劇場鑑賞108本目
EDDIE

EDDIE