ほのか

オフィシャル・シークレットのほのかのレビュー・感想・評価

4.0
あ〜、また似たようなやつが…って思ったけど、観終わった後、せ、精魂尽きた…と思うほど力を入れて観てしまった。とても良きでした。





何がよかったかというと、"わかりやすさ"に尽きる。字幕映画で政治や裁判のお話を観るときに1番ネックとなるところ、私はですけども。
正直始まって数分は、あ…無理かも…なにもわからないやつかもしれない…と思いかけたけど、ひとにフォーカスが当たると、あら不思議。するするとわかる。機関の名前が結構出てくるんやけど、どこの国の何をしているところかがわからなくてもなんとかなっちゃう。なんとかなるように描いてくれてるし、わからなくなりそうになっても映画がちゃんと観客を拾ってくれる。

キャサリンが行動を起こすその理由も、絶対間違っていないという自信はあれどそれでも胃がねじ切れそうになるほど悩んだことも、やったことへの後悔はなくとも夫に不遇を受けさせてしまったことへの負い目はあることも、有罪にはなりたくないし戦争犯罪であることに間違いない確信があるから徹底的に戦う覚悟を決めたことも、すべて思考や感情と答えが直線で結ばれてていい。理解がしやすい。間に政治と法律がたくさん絡んでくるんやけど、それでも常に"人の感情"が色濃いんよ。
こういう映画は、というかお話は感情よりもどう裁判で勝つかの色が濃くなるシーンがあることが多い印象やねんけど、それはそれで面白いねんけど、本作はそうなりそうになれば、キャサリンが「いや、それ違いますよね」って軌道修正かけてくる、し、ちゃんと軌道修正されるからすごい。そうあることは難しいし無理なことが多いことも重々承知やけど、そうあって然るべきだよな…。正しさを諦めないという気持ちの苗を心に植えてもらった気がした。



"正しいことをする"よりも、"正しくないことを見逃せない"の推進力のなんと大きいことか。
前半キャサリンの向こう見ずな行動に彼女自身が堂々としないので、こっちが不安になる…!ってちょっとイラッとしたところもあったけど、止まれないんよね、きっと彼女は。知ってしまった許せないこと、そして今手の中にそれを止められる切り札がある、そう思ってしまうと行動まで一足飛びなんやね。無謀で無鉄砲やけど、それを非難できるのは、正攻法で正しくないことに対抗する術を持ち、実際に対抗する人だけなんかな、と思いました。


キーラナイトレイほんまに最高だった。映画全ての力を以ってこの映画の良さを底上げしてるんやけど、彼女の演技もその一部分で大きな役割を担ってたことは言わずもがな。とてもよかった。
マットスミス…裏切りそう…、って何度も思ってごめん…だって悪巧みしてそうにしか見えん…
え、弁護士さんしてたレイフファインズってヴォルデモートの人なの…??お恥ずかしながら、今までヴォルデモートの演者、誰とか意識したことなかった…。