このレビューはネタバレを含みます
ご本人が亡くなっていること、犯人が捕まっていること、アメリカが反省できる国であること、などの条件がなければ、この映画は単に、当時マスコミがしたことを、逆の立場から行なっているに過ぎない。主人公が「ちゃんと捜査しろ」(意訳)と最後に言うことで、あるいは単に「それな」という映画でしかない。このような地味で過激な映画は、権威ある老人しか撮れないわな。彼はイデオロギー的にFBIきらいなん?
細々としたかけちがいや、悪意などの雑音はさておき、日本においても、このような暴走や沸騰は起きてきた。とはいえ、日本人にはこんな映画は撮れないし、一方で、このような映画を撮れないことがいいことのようにも思えたのは良かった。なんというか、日本はとことん、反省の下手な国だが、未来永劫そうなのかもしれないのだとしたら、何か別の成熟の仕方もあるのかもしれない。友と敵を分けずに、みんなが中道、みたいな? もしくは、そんな世界線は存在しないのかもしれない。