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リチャード・ジュエルのsallyのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.3
クリント・イーストウッド監督40作目の「リチャード・ジュエル」を見てきました。

クリント・イーストウッドファンと言う事を抜きにして本作品素晴らしい出来栄えで大変に見応えがありました。

2時間11分と言う正直、映画としては長い方に感じますが、その長さを感じさせない程、その映画の内容に引き込まれて行きます。

考えて見るとクリント・イーストウッド監督作品って実話に基づいた人間ドラマが多いですね。

「アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」「15時17分、パリ行き」など・・・・またどれをとっても社会問題になり、そのテーマをしっかり見ている私たちに問いかけて考えさせてくれる。

本作品も、国家とマスコミの餌食と言うか、ある意味暴力により、ひとりの善人とその家族の平穏な生活が崩されてしまう話をリアリティいっぱいに見ているこちら側に訴え問いかけてくれる。

私自身、この事件の事を知りませんでしたが、映画ラスト近くのリチャード・ジュエルが、FBIの尋問に、「僕のような事案を残してしまったら、誰も人を助けなくなってしまう」と言う台詞にグッと来ると共に、間違えに気づかない、また自分達が正統だと思っている国家権力やマスコミに怒りさえ覚えます。

強いて、本作品の難と言うか、足りなさを感じた部分も、その後、FBIやマスコミは、リチャード・ジュエルに対してどう謝罪したのか、疑った人たちはどうなったのかを知りたかったな・・・・・

他の作品を全部見た訳ではないので何とも言えませんが、本作品が、ゴールデングローブにも、アカデミー賞の候補にならないのが不思議かな・・・・

しかし、クリント・イーストウッドは90歳になってもこんな素晴らしい作品が作れるのだから正に凄い人だと思う。

本作品、数年前から制作を考えていて、元々配給権を20世紀フォックスが持っていて、ワーナーと共同で制作を申込み話が進んだらしいけど、20世紀フォックス側でクレームを出した人がいて、一時は制作が中止になり、その後、20世紀フォックスがディズニーに買い取られ、ディズニーの現在の社長が、元ワーナーの知り合いだった事から、話し合いで配給権を譲渡して貰い今回の制作、公開に至ったらしいけど、去年の6月に撮影、11月に試写、12月下旬に公開とそのスピード作業で本作品を作り上げたエピソードにも驚かされる。

何でもテストを行わない方法で、撮影を進めるのが、クリント・イーストウッド流らしいけど、早く次回作品も楽しみです。
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