言わずと知れた邦画の大傑作で動く絵として遠近や構図は今見ても見事。
原典にまともに当たった事は無いが、上田秋成の人気読本は基本さほど面白くないのではないかと思っていた。それは何度も何度も映画や芝居にされてる事を聞かないから。
「浅茅ヶ宿」「蛇性の婬」から創作された物語は良かった。川口松太郎が脚本の一人。
京マチ子の姫メイクが印象的。その後の京マチ子の方がいくらでも魅力を感じられるもんだが、この人の原点はここにあるのではないか。
1953年作だから契を結ぶ床や混浴シーンは巧みに逃げているが京マチ子は妖艶。これ、ロマポやピンクで誰かリメイクしてないの?
湖を水戸光子船頭で行く舟のシーンの幽玄美にゾクゾクした。海賊に襲われた舟と出会い、いったん引き返し田中絹代と子を置いて再び旅立つが、省略してすぐに目的の地に着いちゃう。もう一回舟旅見たかった。
この水戸光子もかなり良い。亭主が出世欲に躍起になってる間に武者たちに穢されて娼婦に落ちる。
森雅之が死相が出ていると祈祷師に祠に連れて行かれる。どんなお祓いするのか楽しみにしてたらまた省略。
懲りず幽的が見えてしまう森雅之。
怪談としての魅力や娯楽性に難点があるとも思えないが、なんでピンクリメイクされないのかしら。