KeiRalph

野球少女のKeiRalphのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
3.7
野球少女とのタイトルに、逆境を乗り越えてプロの世界でバリバリ活躍する女子プロ野球選手の話、と思いきや、めちゃくちゃシビアな話でした。

日本のプロ野球で女性選手を扱ったものとしては、水島新司の「野球狂の詩」の水原勇気がつとに有名だと思いますが、同作もプロとして通用するまでの過程が長く描かれておりました。あと、今作でも取り上げられるナックルボールについては、吉田えり選手が有名だと思います。

今作も、速球派がプロ条件、然るに筋力体力に非力な女子はそもそもプロになれる訳が無い!という無意識のジェンダー差別、また不安定な家計に、女だてらにいつまで夢追ってんだ!という社会性にも追い詰められ、主人公のスインは延々悩まされ続けます。

だから、冒頭にも言いましたが、野球映画の割に試合シーンがほぼ無し。メジャーリーグみたいな内容を期待したら、消化不良で終わる可能性大。

その分、スヨンが認められない環境、状況は細かく設定されており、クライマックスまでの展開はジワジワと来るはず。ただ、スヨンやコーチなどのキャラクター説明が多くない所はやや残念。

「野球狂の詩」も、他の水島漫画とは違って野球より人物描写を主としていました。その目線で見てもらえれば満足出来るかと。
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