ゆうゆ

夏時間のゆうゆのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
4.5

学生時代、夏休みをまたいで
久しぶりに会った友人が
急に大人びてまるで別人のように
変わってしまうことがあったように
あの短い夏のひとときは
ひとをいろんな意味で成長させる
不思議な力を宿している気がする
・
父と弟と、おじいちゃんの家で
夏休みを過ごすことになった
少女のひと夏の出来事。
どこまでも無邪気で愛らしい弟とは
対象的に、大人の階段を登りはじめた
年頃のお姉ちゃんには 家庭の事情による
大人ならではの選択に対する
反発心や失望、自分の容姿や恋とか 
抱えきれない思いがたくさん募っていて
可愛さと少しの大人っぽさと
殻に被われた美しさ、
そして色んな悩みを抱えながらも
少しずつ脱皮していく感性のゆらぎが
見ていてとても瑞々しく
たまらなく愛おしかった

舞台となった青々とした緑の茂る
広々としたおじいちゃんの家、
昭和感溢れる小物が 自分の祖父母の
家や匂いを思いださせて懐かしい
気分になったし姉弟の抱く思いが
ぶつかり合うリアルな姉弟喧嘩や
殆ど喋らないのに 不意に見せる
おじいちゃんの笑顔、にじみ出る優しさと
安心感に自分の祖父母を重ね
色んな共感が生まれていた

随所にはさまれる
日常の何気ない一瞬の輝きや
はっとさせられる美しい情景描写、
二度と繰り返されることのない
夏の終わりのノスタルジックな空気を
ひしひしと感じる
余韻を引き摺る秀作でした
ゆうゆ

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