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はなれ瞽女おりんのbennoのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
4.1
篠田正浩監督作品…2作品目…。

《瞽女》とは盲目の女旅芸人…彼女たちは瞽女屋敷という住居に集団で住み厳しい掟や躾の中…三味線の修行を行います…そして各地を巡って三味線や瞽女唄と言われる語り物を披露…その代わりにお米などの報酬を頂きます…。

《はなれ瞽女》とは瞽女の戒律を破り異性と関係を持ってしまった瞽女…集団から落とされ(外され)、ひとりで旅回りをしなければなりません…。


原作は水上勉の同名小説…短編の為、即読了…。

今作の主人公おりんは若狭で生まれ、3歳の時に失明…その後6歳の時に越後、高田の"里見の瞽女屋敷"に…しかし21歳ではなれ瞽女となってしまいます…。

ひとりで流浪する中…自称下駄職人という岩淵平太郎(原田芳雄)と出会い…彼はおりん(岩下志麻)の手引き(おりんの前に立ち先導する)として行動を共にします…。

決しておりんを抱こうとしない平太郎…
平太郎を慕い抱いて欲しいと願うおりん…


何よりビックリなのは息を呑むほどの映像の美しさ…

冬の荒れた日本海…美しい気嵐は墨絵のよう…
春に咲くコブシの花…土筆や蕗の薹が芽を出し…
夏には海で行水…夕焼けに染まったおりんは…
     「仏様のようじゃ〰︎」
秋は木枯らしが吹き、カサカサと舞い散る枯葉…。

日本の四季の移ろいが蘇ります…。


また、少女のおりんが初潮を迎えた時…
真っ白な雪の上に真っ赤な椿の花…

おりんが男性と初めて関係を持った時…
ピンクの満開の蓮の花…

なんて風情のある映像…また、瞽女を通して大正時代の日本の原風景を感じることも出来ます…。

撮影監督は宮川一夫さん…邦画ならではの映像美…三味線の音色と相俟って絶品…。

主役の岩下志麻さんはおりんの健気で奇妙なまでの明るさを見事に演じ切っていましたが…彼女から滲み出る気品さとお化粧で…瞽女とは少し違和感が…しかしそれを救って余りあるのは瞽女仲間の樹木希林さんの演技…ふたりのバランスがいい塩梅…。

ラストは原作には無い結末…映像の見事な締めくくりでした…。


thanks to; 寅次郎せんせー 𓂃◌𓈒𓐍

thanks to; のんchanさ〰︎ん 𓂃◌𓈒𓐍
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