Filmarks試写にて。とにかくクソ面白い映画でした。最近はハリウッドに牙を抜かれ、ヌルさが目立つ映画を撮っていたガイリッチーが遂に「ロック、ストック&トゥースモーキングバレルズ」「スナッチ」の頃の、「ロックンローラ」以来失われていたイギリスのギャングたちによる群像劇スタイルに20年ぶりに回帰し、完全復活を遂げた。そしてそれが、ガイリッチー映画史上最もウェルメイドで隙の無い映画になっているのだからもう僕は嬉しくて堪らない。何よりも豪華役者陣が全員楽しそうなのが良い。時制を巧みに弄った語り口で語られるFワードが飛び交う騙し合い合戦を見事に際立たせている。まさしく「桐島」的に事態の中心として余裕たっぷりに構えるマシューマコノヒーは勿論、そんな彼に忠義を尽くす森の石松ポジションのチャーリーハナムは、今回ガイリッチーからの愛を最も感じられる実質的な主人公。本妻ジェイソンステイサム、そして愛人たちであるマークストロングやジュードロウに続き、ガイリッチーの側室入りを果たした彼がとにかく可愛くて堪らない。週刊文春もかぐやのゴシップスッパ抜きでギャングたちを脅す卑猥な言葉が大好きなゲス私立探偵ヒューグラントもノリノリで好ましいが、今作のMVPはやはりコリンファレルだ。彼が出てきてからはこの映画が一気に弾け始める。若者たちを熱血指導する竹原慎二の様な男だが、実際には「パルプフィクション」で言うところのハーヴェイカイテルの様なド有能仕事人ポジションを思いがけず担ってしまう辺りが最高に可笑しい。彼が出てくる場面は全部腹を抱えて笑ってしまった。関係の無い無駄話はなく、全てのキャラたちが物騒なバイオレンスによってきちんと繋がり、最後にはスカッと心が晴れ渡る様な優雅な余韻が残り終わる。これ以上映画というコンテンツに何を求めるというのだろうか。観れば誰もがまさしくマリファナを吸った様にハイになれる、最高の映画です。