安堵霊タラコフスキー

見えざる人生の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

見えざる人生(2019年製作の映画)
2.5
カンヌのある視点部門で最高賞受賞した映画がラテンビート映画祭で上映されるってことで折角だからと鑑賞したが、蓋を開けてみるとラテン系成瀬作品みたいな出来で好みとは言い難い代物だった。

映像としては妹の初体験後の長回しとかそこそこ良いところもいくつかあったとはいえ、基本的に成瀬やそのフォロワーみたく人間の動きや感情表現に重きを置いていたように見え、画面からは小津やタルコフスキーと違って思想や哲学が感じられる作りには到底なっていなかったから、見ていて心打たれるシーンが殆ど無かったのは残念と言わざるを得なかった。

加えて登場人物も主役の姉妹等結構どうでもいい系の馬鹿ばかりだったから見ていてもまるでのめり込めず、そういう点も成瀬作品に通じるものがあって人間嫌いの自分にはきつかった。

姉妹間とか年代とかのジャンプの仕方は大胆で面白かったけど(特に妹の妊娠が発覚していきなり出産シーンになったかと思ったら姉の方だったのは少し笑えた)、やはり人間主体の映画だと自分の琴線に触れる確率は低くなると思わせられる作品になっていて、自分が心惹かれない映像を2時間以上も見た虚しさだけが強く残る結果となってしまったから、やはりもっと劇場で見る作品は注意深く選ぶべきだなと反省する。