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見えざる人生のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

見えざる人生(2019年製作の映画)
2.0
【LBFF2019:ピアニスト要素がガバガバ過ぎて涙目】
この前のカンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリに、透明ランナーさん(@_k18)が注目しているブラジルの監督カリン・アイヌー最新作が輝いた。ある視点部門は、コンペティションや通常の映画賞では輝きにくい奇をてらった作品が受賞する賞で去年は『ボーダー 二つの世界』が受賞している。そんなカリン・アイヌー最新作をラテンビート映画祭で観てきました。

2010年代のある視点部門グランプリは『ボーダー 二つの世界』に始まり、『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』、『消えた画 クメール・ルージュの真実』と変わった作品が受賞しているイメージが強いのですが、本作は割と王道な文芸大河ドラマとなっている。幼くして別れ離れになった姉と妹が、手紙を通じて互いの見えざる人生を描いていくというもの。姉ギータは移民として世界を飛び回るが、男運に恵まれず壮絶な人生を送る。一方、妹は姉に会いたいと切望しながらピアニストの夢を叶えようと自らの人生を歩む。ペドロ・アルモドバルが得意とするじっくりコトコトと人生を回想していくスタイルを取っている作品であるが、突然時間が大幅に進み、姉か妹かわからなくなる演出が随所に取られる独特の面白さがアクセントになっています。

しかし割と粗の強い作品であり、そこまで上手いとは思わなかった。証明にこだわり過ぎていて、コスチュームプレイにも拘らず衣裳に力が入っていない感じが気になる。また、中盤姉と妹の人生が交差しそうでしないという演出に監督都合が見え見えだったりする。そして極め付けは、妹のキャラクターを彫り込む為に用意されたピアニストという要素が全く活かされていないということだ。それにより、彼女がピアニストとして褒められても全く説得力がなかったりするのだ。

残念ながら初カイン・アイヌー映画は不発に終わりました。
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