KeiRalph

聖なる犯罪者のKeiRalphのレビュー・感想・評価

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
4.0
実話に基づくお話だそうで、キリスト教に疎い私は全てを、これが日本なら何処かの田舎のお寺の住職に扮して…と脳内変換して見てました。そう考えたら、どこの国てもムラ社会の閉塞感は一緒なんだなと思った次第。

冒頭の、少年院内作業所で起こるカマホリックな早業。それで常に生き馬の目を抜く状況である事が理解できる最高なツカミ。

誰もが信頼出来ない環境の中、塀の中のミサだけが、主人公のダニエルにとって開放の場。普段の死んだ魚みたいな表情と、朗々と讃美歌歌い上げる恍惚の表情のギャップからも察しがつきます。

これに限らず、劇中、ダニエルの顔芸(というか眼力)が素晴らしい。仮釈放後の開放感からあらゆる禁欲解放されてる時のキメキメの顔!やばい!

そんなこんなで、働き口だった田舎の製材工場から教会に司祭代理で転がり込む展開はやたらご都合感は否めない(これも事実なんでしょう、きっと)ですが、神職に就く事で開放感と支配欲の両方を得られるんだから、ダニエルが固執したくなるのも仕方ない。

お話は、閉塞的な田舎によくある、臭いものにフタな展開を中心に進んでいきます。テーマ的には、「真の善良と、赦しとは何か?」だと思いますが、物語後のダニエルの善良と赦しは、何より自身にどの様な結末を迎えたのか、大変気になります。
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