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聖なる犯罪者のakubiのレビュー・感想・評価

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
4.0
信仰。善悪。真偽。神。すべての概念が崩壊してゆく。涜聖のうえで、痛みを知っている彼の告解は迫真の助言と赦し。我流のミサは、教科書どおりでない彼のこころの叫び。ひとびとのこころを震わせる、福音。神聖さとは、目を瞑っていることなのだろうか。ひとはみんなそれぞれの罪をかかえ、赦されたいとねがう。理不尽と不条理で満ちているこの世界に堕ちてとらわれた雁字搦めで可哀想ないきもののわたしたち。真の救いとなるものはなんだろうか。苦しいけれど解放されたこの涙はきっと、愛と祈り。けれどそれもからっぽの宙にのまれてゆく。
この映画じたいに慎ましやかな愛が揺蕩い、赦したい、赦されたいとう祈りが溢れ、ずっと涙がとまらない。
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