Maoryu

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!のMaoryuのレビュー・感想・評価

4.3
1987年、売れない劇作家エドモン(トマ・ソリヴェレ)は名優コクラン(オリヴィエ・グルメ)の依頼で、3週間後に開演する舞台の脚本を書くことになる。なかなか筆が進まなかったが、親友と衣裳係の恋の手伝いをする中で、剣士で詩人のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にした物語を思いつく。

「シラノ・ド・ベルジュラック」は舞台も映画も何度も観ているけど、観る度に面白さを発見する。
そんな名作あってこそだろうが、この映画もかなり面白かった。

コクランの大胆不敵な振る舞いや、エドモンと親友レオとのやりとりが、しっかりコメディしてて笑えるし、長い伏線から “ロクサーヌ第一幕で死す” というドタバタと、大喝采の爽快感も素晴らしい。

エドモンの執筆のための奮闘と、完成に向かう戯曲の内容がリンクする作りも上手くできていた。

一方で、傑作を生み出す作業がずいぶん残酷にも感じた。
綺麗にハッピーエンドにしているけれど、実はエドモンはひたすら作品のために感情を作り出し、ジャンヌはその道具にされ、彼女の恋心は行き場がないはずだ。
それに、妻ロズモンドも可哀そうだった。

出演者の中では、コクランを演じたオリヴィエ・グルメが、「イゴールの約束」「私は確信する」とは全く違うコミカルな演技で盛り上げる!

そして、エンドロール。過去に名優たちが演じたシラノの映像が粋!
Maoryu

Maoryu