原題「Edmond」。19世紀の名作舞台劇「シラノ・ド・ベルジュラック」が完成するまでの舞台裏を描いたコメディ。劇作家エドモンの実体験がそのまま舞台劇「シラノ…」に結実していく面白さ。オリジナルの舞台版を想像させる演出とスピード感が魅力だった。
エドモンは姿・形も全くなかった脚本をオノレ、レオ、コクラン、ジャンヌらとの対話の中から次々と着想を得て作っていく。人と人との会話を元にした人間臭い創作過程には引き込まれる。エドモンとジャンヌの一線超えられぬ恋愛とその行方も切なさいっぱい。
人間の外見と中身の大きな食い違い、外見で人を判断してはいけない、というテーマは劇中劇の中だけではなくカフェの主人オノレや娼館娼婦などの登場人物にも反映されていて納得。劇中劇の終盤クライマックスを逆に映画として見せる演出にはハッと目が醒める思いがした。
字幕翻訳は室井麻里氏。