GT

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇のGTのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 H.P.ラヴクラフト「宇宙からの色」の映画化。所謂クトゥルフ神話の一つ。原作読了済。
 田舎に移住したガードナー一家。ある日、庭に隕石が落下。その日以来、奇怪な出来事が次々と一家を襲う…という内容。
 ありふれた日常が徐々に侵される恐ろしさが売りの原作だが、今作では原作通り、いやむしろ原作すら超えた恐ろしさをこちらに提供してくれる。電波や機械の不調といったたわいの無い出来事から始まって、まるで傷口が広がって化膿していくかのようにどんどん手のつけようがない事態に発展していく。「宇宙からの色」は人間の頭を麻痺させる能力があるらしく、それに当てられ狂気にはまり込むネイサン(ニコラス・ケイジ)は「シャイニング」のジャックをなんとなく想起させる。「色」がネオンサインみたいなピンク色だったり奇形化したカマキリがCG丸出しだったりするのはクトゥルフ的にはどうなのかとちょっと疑問だったが、奇形化したアルパカや息子と母が合体したクリーチャーの造形は割と好み。クトゥルフ的にも割とありだと思う。
 クトゥルフ神話に於いては基本的に人類に希望はない場合が殆どで、本作でもガードナー一家は最終的に全滅してしまう。語り手である水質調査員は何とか生き残るのだが、原作では語り手(こちらでは水質調査員ではなく隣人のアミ)も「色」によって頭を麻痺させられ、その場から動けなくなっていることを示唆して終わっているが、本作ではそのようなことはしていない。個人的には、クトゥルフという観点からより一層の救いの無さがあっても良かったかも、とは思わなくもない。
 余談だが「ネクロノミコン」「アーカム」「ミスカトニック」というクトゥルフに親しんでいる人ならお馴染みのワードが登場するが、残念ながら本筋にはあまり関係がない。
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