ShinMakita

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇のShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.6

マサチューセッツ州の僻地マーカム郡。その外れにある父の農場に移り住んだネイサン・ガードナーは、癌闘病中の妻テレサ、ハッパを吸うぐうたら長男ベニー、呪術オタクの長女ラヴィニア、幼い次男ジャックと共に暮らしている。農場では畑を耕し、アルパカを飼育する日々。風変わりに見えるが、ごく普通の一家だ。ある日、ガードナー家が凄まじい閃光と地響きに包まれた。外に出てみると、なんと庭の井戸の近くに隕石が落ちている。ネイサンはその隕石が放つ悪臭に耐えられなくなり、ジャックは井戸から話しかけてくる何者かと交信するようになり、ラヴィニアは吐き気に苦しむようになる。テレサは料理中に放心状態となり、家族のおかしな言動に耐えきれなくなったネイサンは大声であたり散らすようになった。崩壊寸前の一家だが、家を出ることも助けを呼ぶこともできない。クルマは壊れ、スマホもWi-Fiも繋がらなくなっていたからだ。水質調査のためにマーカムに滞在中の学者ワードは、地下水が汚染されていることを突き止め、知り合いのラヴィニアを心配してガードナー家を訪れる。彼が見た、ネイサンたちの陥った戦慄の状況とは…


「カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-」

以下、カラー・アウト・オブ・ネタバレ

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ラブクラフトが書いた「宇宙からの色」の映画化作品。不勉強なもんで、ラブクラフトというと幻想小説・ゴシックホラーの古典を書いたヒトという知識しかなく、こんなインベイジョンSFを書いていたとは知りませんでした。といっても、これは単独作品というよりはラブクラフトの作ったクトゥルフ神話の一環で登場する宇宙的な恐怖の存在として描かれたものらしいです。スピンオフ映画、あるいはMCUのキャラ単品映画みたいなものでしょうか。ラヴィニアが状況を打開しようと頼る「ネクロノミカン」など、ラブクラフト世界の架空の設定・地名が出てきましたよね。こうした架空世界の構築というと、どうしてもスティーブン・キングと重なります。キングが子供の頃からラブクラフトに傾倒していたのは有名ですが、こういう部分も真似ているんですね。

さて映画本編はというと…

ビジュアル的には物体Xに代表されるカーペンター作品のようなグロテスクとチープさが懐かしさを呼び起こして、楽しめました。そこに、定番のキレ演技を見せるニコラス・ケイジが重なるんですから、「楽しい」の二乗ですよ(笑)。「リトル・ジョー」で物足りなかった人には格好の映画ですね。


大作が無くて、ミニシアターと邦画とリバイバルだけの夏の映画館。こういう景気のいい奴をもっとやってほしいものです。
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