GWはみんなで『辰巳』を観に行こう!
直球のノワールでありながら、『グラン・トリノ』的に収束していくあっぱれな展開。
常に血生臭い現場にいて、これだけ人が死んでいるのに、滅多なことでは血を浴びない辰巳が主人公として正しすぎる。死体処理などしょうがないところを除いては顔面殴られたくらいでは鼻血出さないんですよ、正しい主人公は。敵も魅力的で、やはりこちらも簡単には血を流さない。それでいい。
最終的には少しウェットに流れていくけど、中盤何度もウェットになりそうなところを引き締める辰巳。
間違っても『レオン』とかしょうもない映画と比べる必要はない。
序盤の港での抗争シーンで山岡とやられ役の顔アップになってから、山岡の顔がカメラから離れての数十秒間の緊張。あれこそが映画が放つべき"緊張感"だよ。
藤井なんたらのタイトルだけの"ヤクザ"映画とは違うわけです。
やたらめったら裏社会感を出すのでもなく、しょうもない怒鳴り合いを見せられるのでもなく、ひたすらドンパチを繰り広げるのでもない。
教科書のような映画。