ミサホ

グンダーマン 優しき裏切り者の歌のミサホのレビュー・感想・評価

3.7
少し前に買ったものの、本で言うなら「積ん読」状態にあった本作。他の作品のレビューに触発されて観ることにした。

好きな題材なので面白かった。

主人公はミュージシャンとして活動しながら、炭鉱の仕事で家族を養うグンダーマン。

1970年代後半から、シュタージの密告者として生きた数年間と、90年代前半東ドイツ負の遺産である監視国家の実態が公開されたあとの彼の人生を描く。

物語は、時代を行ったり来たりしながら描かれるのだけど、これが分かりにくくて苦戦した。ひとつ前に観た映画『ミッシング 〜50年前の記憶〜』とはエライ違いやで…。

対策として、とりあえず、90年代のグンダーマンは“ナブラチロワ”、70年代後半の密告者時代の彼は“アルシンド”と区別しながら観た。

ひとつひとつのエピソードは分かるのだけど、やっぱり流れがイマイチ掴めない。

対策として、流れを把握するのは諦めて、東ドイツの車トラバントやら家具やら壁紙やら風景や映像を楽しむことにした。(結構、楽しめたよ)

冷戦当時、シュタージの協力者だったことをバンドのメンバーや友人たちに告白し、「裏切り者の自分が許せない」とグンダーマンは苦しむ。

これも国家が密告の実態を公表しなかったら、多分言わなかったはず…と、意地悪なわたしなんかは思ったけれど、国が密告を奨励(巧妙な手口で引き込んで)して、のちに個人がそれで苦しむのは、なんだかやりきれないなぁと思う。

しかし、このグンダーマンという男、調子がいいというか、その時々で態度が変わったりして、なんか信用出来ないな〜、あまり好きになれないな〜という印象が残った。 
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