菩薩

僕の好きな女の子の菩薩のレビュー・感想・評価

僕の好きな女の子(2019年製作の映画)
2.0
filmarksオンライン試写。

全編にわたって「いかにも」で埋め尽くされた単なる共感製造機、それっぽい共感さえ呼んでしまえばそれなりに客も入るだろうとの安易な発想が見える。おそらくは『愛がなんだ』の大ヒットを受けて吉本興業が仕掛けた二匹めのどじょう狙い(俺の妄想)、脚本協力にはちゃっかり今泉力哉。『愛がなんだ』が女性が男性に振り回される話だっからこっちは逆にしてみた!ってだけだろうし、平坦な台詞回しやら雰囲気そのものが二次創作の域を出ていない。あとこの作品には「周りの迷惑」の概念が著しく欠けている。渡辺大知が歩きスマホでLINEを交わしながら眼前の電柱に気付かず衝突するなんてしょーもないシーンから始まるが、あらゆる場面で発話のボリュームが大きすぎて観ていて本当に不愉快、作品自体の視野狭窄が甚だしい。自宅飲みでの「その気にさせといて散々振り回してくる癖にいざとなったらヤラせない女=ビッチ」の発想は如何にも日本のバラエティ番組の男尊女卑思想そのものだと思うし、奈緒の「一眼レフを首から下げたちょっと不思議ちゃんだけど凄い可愛くて憎めない女の子」なんてキャラもおっさんの好み丸出しで正直しんどい。終盤の奈緒の新恋人である大賀との「いい人」の擦り合いやら、その後のモノローグ、唐突なメタ演出(『劇場』と一緒じゃん)もかなり寒々しいが、この太宰やら織田作をフィルターで濾しに濾した味のしない世界観ってのが現代にはウケるのかもしれない。「好き」と「友達」の境界線なんて散々やり尽くされたテーマで今更ドヤられても困る、個人的には「吉本が絡むと本当にロクな映画が出来上がらない」説の強化パーツのままで終了、痛々しい凡作。
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