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461個のおべんとうのmanamiのレビュー・感想・評価

461個のおべんとう(2020年製作の映画)
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まぁ正直、観終わってすぐ心に浮かんだのは、『パパのお弁当は世界一』の方が好きだなぁ、ってこと。
渡辺俊美本人がパパ役を演じたあちらに比べて、イノッチ版のこちらは全体的に暗い。
パパが最初っから料理上手で、お弁当作りを始めた時期の失敗がない。唯一、ソラ豆がアレだったくらいか。下準備した食材を冷凍ストックしてる場面で、冷凍室奥の方にソラ豆が残ってるのを見つけて苦笑はしたけど、慣れない料理に悪戦苦闘するくだりがないから、そこから生まれる笑いも当然ない。
離婚する両親のどちらかを選ぶとか、受験失敗とか、虹輝目線でのストーリーはなかなか辛いこと続きで、その上本人も反抗期を拗らせちゃったりする。
結果、全体的に暗い。お弁当は彩り豊かなのに。
で、暗くて重い割には、プチ家出からの復活とか、一樹が彼女と別れたりくっついたりする理由とかいろいろ、なんだかはっきりしない。登場人物たちの行動が唐突で、感情移入しづらい。
そもそもこれは父親と息子、どちらがメインのお話なんだろうか。どちらも中途半端になってしまってるよ。
すごく薄味、大味な印象。お弁当はガッツリ系なのに。
あとどうしようもなく気になるのは、何度も出てくるライブパートの長さ。バンドメンバーが謎人選なのはさておいても、もっとここぞという時だけイノッチの歌声を聴かせる構成の方が良いのでは。
お弁当を冷ましてる間に朝食も作ればいいのにとか、ひろみの友達の女子が途中から消えたけどとか、他にもあれこれありますが良かった点も挙げるなら、まずは玉子焼きを作りたくなったこと。
それから「大学行ってもお弁当作って」に対する返し。誰かと一緒にテーブルを囲んでとる食事は、栄養のためだけじゃない、とても大きな意味を人生に与える糧になるよね。

90
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