キャストとスタッフのクレジットの背景に映されたカット、厨房とその勝手口から見える風景がとても美しいと感じた。
監督の小森さんは震災直後に陸前高田市に移り住んだ時、自分の知性と感性で撮ることに躊躇いを感じたそうだ。何も知らない自分が撮ることが何かを冒涜することになるのではないかと。そして、地元の人びとの話を聞き、彼らが何かを感じている対象を彼らの目を借りるように撮っていった。
冒頭に書いたカットは、この作品の主人公、震災直後に陸前高田災害FMパーソナリティとして活躍した阿部さんが好きな風景だと上映後の監督QAで知った。
誰かが美しいと感じているものに寄り添い作品に映し、それを観た者が同じように美しいと感じる。
映画という表現の底知れぬ可能性を思い知らされた。