空に聞くの作品情報・感想・評価

上映館(2館)

空に聞く2018年製作の映画)

上映日:2020年11月21日

製作国:

上映時間:73分

「空に聞く」に投稿された感想・評価

中庭

中庭の感想・評価

3.9
ラジオDJを何年も続けた阿部さんの生放送作業中の手元を丹念に追うカメラ。パーソナリティーを卒業した後の小料理屋での彼女の仕事ぶりを追う映像を眺めているときに、私たちは冒頭の緻密な作業風景を反芻する。取材年月に比べ上映時間は70分台にまとめられており、その慎ましくも大胆な手腕に驚く。
TsutomuZ

TsutomuZの感想・評価

3.9
空に向かう連凧と2年前のインタビューの中で6年前の回想が重なったのが良かった。

あの地に花が咲くまでにどれだけ時間がかかるのか。
Sios

Siosの感想・評価

4.1
落ち着いた声の語りが心地よく響いてくる。
同じ空気を共に感じられるような自然さ。

陸前高田災害FMパーソナリティーの阿部さんに密着。
日々情報を声を届けてきた尊さ。
確かに他人の気がしなくなってくるし、こちらが癒される感覚も。

一人一人向き合い方は違うし少しずつ変化する。
ラジオと同じように、被災地に寄り添って日常を届ける本作のスタンスが素晴らしいと感じました。
タコが決定的だったり、その話す言葉を映像として還元させる時とんでもない魅力を放つ。
空に聞く、阿部さんのリハビリであり投げかけでもある。
よる

よるの感想・評価

3.9
被災の経験を経ても全く立ち止まらず、初めてのラジオDJに試行錯誤しながら挑戦するあべさんがほんとうにかっこよかった。また陸前高田に行って、味彩でご飯食べたいと思った。あと人の話を聞くのが本当に上手。
映画として、ある地域の人々の生活と思いと繋がりがうまく切り取られてるなあと思った。田舎の人たちが毎日何を考えてどんなルーティンで暮らしているかってことが今の私の最大の関心事で、それが凄く伝わってくる映画だった。
陸前高田の、ただ土地の高さを上げる工事をしてるだけの何もない景色に見覚えがあったので、余計に懐かしく見た。

ポレポレは設備も作品もいい映画館だから、近くにいるうちはもっと頻繁に見に来ようと思った。
今作で2020年もう満足しちゃった感ある。(かつての)踏切を通過する瞬間。
G

Gの感想・評価

-
たけしのモノマネするおもんない地元パーソナリティ、五本松からど根性ガエルのエピソードを披露するおっさんが味わい深い。人工的なロードサイドを神輿が通り抜けていくカットに何も言えなくなる。ゆっくり、丁寧に、直接的な描写をせずにこの異様な景色の意味が説明されていく。見終わった後、迂闊に何かを言えるような作品でもないのだけどあの神輿を映したカットはとにかく美しいと思った。
koms

komsの感想・評価

-
5年の仕事の重み!
終始風通しの良さを感じた。監督の手腕のなせる技ですかね。
富井

富井の感想・評価

-
記憶を拾って、前を向く

陸前高田の風景が断片的に挿入され、間が生まれているのが良かった
タイトル好き
今年もたくさん素敵なドキュメンタリーを見てきたけれど、とりわけこの映画は出色。

震災後、学業を中断してボランティアとして大学院仲間の瀬尾夏美さんとともに現地で暮らした小森はるかさん。
彼女が切り取る映像は『息の跡』とこの『空を聞く』に、瀬尾さんの文字表現は『あわいゆくこころ』として作品となり、私もともに多少なりとも追体験させていただくことができた。

震災の半年後くらいから陸前高田で災害FM放送を立ち上げた和食店の女将さん=阿部裕美さんの日常にカメラが張り付く。小森さんもその地(正確には陸前高田の近所ということになるらしいが)で暮らしているから、やっつけの仕事じゃなくて長期戦。二年半カメラを回したとのこと。

阿部さんの暮らし(FMDJとしてのそれだけじゃなくて文字通りの日々の暮らし)を切り取る手立てが、同時性・偶然性だけを根拠にした安手の記録映画ではなく周到に計画された構成になっていて伝わり方にいちいち重みがある。

手持ちブレブレのクローズアップとフィックスで少し遠景長回しするカットの組合せ、土地全体を嵩上げするという途方もない工事が淡々と進む様を無表情に捉えるインサートカット。それらを組み合わせていく脚本と編集が表現の深化に大きく寄与していると感じる。

実はこの映画には大阪での上映館シネヌーヴォのただならぬ想いというのもあって。

『息の跡』は公開時京都出町座で拝見して、その時には福島の銘酒を持参された小森はるかさんと編集の湊岳志さんのトークも素敵だった。(お酒をちょっといただいて一杯機嫌!)

で、今回は公開直前に12回に及ぶ山崎紀子支配人による「インターネットラジオ」を聞くことができて。そこには湊岳志さんはもちろん、『セノーテ』での水と鎮魂繋がりみたいなところで小田香さんやいろんな方が登場しておしゃべりを。そして毎回小森はるかさんの盟友、瀬尾夏美さんの『あわいゆくこころ』の朗読が入るというもの。まさに「声」「聞く」というキーワードを活かし切ったPRだった思う。

おまけに公開後の「番外編」では阿部裕美さんご自身からのメッセージ(舞台挨拶時に劇場で支配人が朗読された)の披露まであったし。

もちろん映画は興行物なので、興収を上げて資金を回収し出資者を潤すものでなければならないのだけれど、一方で表現としての価値に注目して、「どうしてもこれだけは伝えたい」という想いに拘る興行主も存在するわけで。そんな映画館に常々通うことのできる我が身を幸せに思う。

一度陸前高田にお邪魔して「味菜」の玉子焼きを食べてみたいな。

ところで小森さんの次回作は瀬尾夏美さんとの共同監督で「二重のまち/交代地のうたを編む』。
陸前高田の過去、現在、そして2031年の「未来」に思いをいたす作品だとのこと、待ち遠しい。
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