長年の懲役を終え旭川刑務所を出所した三上は、今度こそカタギにという固い決意で上京したが、人生の大半を刑務所で過ごし、健康も害しているため、仕事に就くことも出来ず生活保護を申請することになる。自立にこだわる三上は、職業訓練で身につけた技術を生かそうとするが、それもままならない。そんなある日、三上の前に取材ということで二人のテレビマンが訪ねてきた…というお話。
幼い頃に母と別れ、施設で不遇な少年時代を送り、暴力の世界で生きてきた男を役所広司が熱演。脇を固める仲野太賀、長澤まさみ、六角精児、北村有起哉、キムラ緑子らも、それぞれ役にはまって名演、綿密に練り上げられた脚本で無駄な場面が見当たらない。主人公の三上は、まさに役所広司にしか出来ない難役だが、見事な演技で存在感抜群である。来年のベストテン入り必至の名作だ。
