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せかいのおきくのIdeonのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
4.0
 上役に意見したためお役御免になった父親と一緒に貧乏長屋に越してきたおきく、寺で読み書きを教えながら武家の誇りは失っていなかったが、士官先とのいざこざのため、父親は斬死、おきくは喉を裂かれてしまうのだった。声を出せなくなったおきくは、それでも汚穢屋の中次たちと力強く生きていく…というお話。
 江戸時代の屎尿処理をテーマに長屋の人々の人間模様を描いた作品。汚穢屋に扮した池松壮亮、寛一郎は体当たりの演技、おきくに扮した黒木華は、喉を裂かれて台詞がなくなった後のほうが、より心情が伝わってくるような名演だった。テーマがテーマだけに、なかなか正視に堪えない絵面なのだが、90分の短編を8章に分け、パートカラーで撮影するなど、見やすくするためによく考えられている。
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