仕事柄絶対観ておきたかった映画。
「すばらしき世界」というタイトルを目にした時、元受刑者が社会に出て、たくさんの人たちに支えられながら更生していく姿を描いてるんでしょーとか軽く捉えてだけれど、さも当然のように裏切られた。
確かに大枠は間違っていないけど、「シャバ」での生きづらさが前面に出ていて、葛藤というにはちょっと表現しきれないような、繊細な感情の動きが、映画の軸だったような気がする。
真っ当に刑期を終えても、社会では通用せず、疎まれたり、関心をもたれなかったりする。社会から孤立して、絶っていた過去の関係者にすがりつくか、罪を犯して元の場所に戻るかの選択肢しか与えられない。誰に対しても冷たい社会に染まることしか、できない。誰のための世の中なのかわからないし、分かろうとしないことが正解だったりするんだと思う。
こんな風に嘆いても、私は社会を変えようとはしないし、社会も変わらない。観終わったあとは感化されても、明日は何事もなかったように生きていくんだろうなあと、悲しくはなる。
だからせめて、仕事で関わる人たちには、もう少しだけ、人生の背景に想いを馳せようと思った。
