三上正夫という人物は、どう形容したらよいだろう。
情に深く、真っ直ぐで、曲がったことが許せず、優しさもある一方で、短気で、衝動的で、荒々しく、躊躇いなく人を傷付けることもある。そんな複雑な要素が、ひとつの人間の中に存在していると思うと、不思議な気持ちにさえなる。
例えば彼に会ったとして、わたしが見るのは実際どの面かによって、彼の印象は変わるだろう。シンプルに一言でその人を語るなんて、到底できないことなんだな。
その難解複雑な生き物が生活しているのが社会。この社会の複雑さは、人の数の多さがもたらしているんだろうか。
わたし自身も未だに社会の厳しさや世知辛さを感じて俯いてしまうこともあるけれど、それでも『すばらしき世界』であることもちゃんと感じられた内容だった。彼の周囲の人たちの暖かさがまさにそれで、少なからず彼の人柄が呼び寄せたんだろう。だから、このタイトルは皮肉じゃないよね？わたしも諦めずにちゃんと顔をあげて生きていきたいと思った。
こんな風に言うと語弊があるかもしれないけれど、この映画を観て、励まされたような思いにもなった。広い空の下で、必死になって生きてみろと言われた気さえして、涙が出た。
でも、だからこそ、さすがに彼のあの最後は色々考えてしまって悲しい。これからだったのにどうしてって思わずにはいられなかった。
とにかく役所広司が凄過ぎる。わたしのボキャ貧では表現できなくて悔しいくらいに、本当に凄かった。
『PERFECT DAYS』がより楽しみになった。
