さーや

プラットフォームのさーやのネタバレレビュー・内容・結末

プラットフォーム(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

殺風景な部屋、上から降りてくる台。階層が上の者はたらふく食べ、下の者はその残飯。更に下の者は食事にありつけるかもわからない。
ある日その台にひとりの女が乗って降りてくる。彼女は子供を探しているらしい。



なかなか展開が読めず、面白かった。
中層階からスタートさせた被験者を下に送ったあとに上にしてみたりするのは楽しいだろうな。連帯感なんて発生しない気がする。管理者とやらは人間にデスゲームさせるのが好きなタイプではなかろうか。



最後はよくわからないなと思っていたが、ふと気づいた。



ゴレンが持ち込んだ本はドン・キホーテ。騎士道物語の読みすぎで空想と現実の区別がつかなくなった男の冒険譚だ。ゴレンも様々な幻覚に悩まされる。ドン・キホーテは己の活躍によって空想上の女性、ドゥルシネーアの美点を広めることを目的として旅に出る。ゴレンもまた、食料を分け与える『連帯』を下層に呼びかけるため台に乗る。この辺りの相似にも意味があるのではないか。
手つかずだったパンナコッタ。パンナコッタは伝言だ。パンナコッタはもうない。今度はあの子が伝言だ。
彼は戻らず、希望を託した。
そう思えばなかなか悪くない話だった。
さーや

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