マイノリティ

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のマイノリティのレビュー・感想・評価

4.0
良かったです!

年老いた美術商が全てを捨て、「最後の賭け」に出る話です。

長年、美術商を営むオラヴィは家庭も顧みず仕事ばかり。
お陰で妻とは離婚し一人娘のレアとは音信不通で、たった一人で生活しています。
賃貸の店も家賃の督促状が届き、落札した品も金が払えない日々。

そんな時、数年ぶりにレアから息子のオットーを店で働かせて欲しい。と連絡があります。

オラヴィの孫のオットーは窃盗で補導歴があり、更生した証拠として評価シートを雇い主に記入してもらい、提出しなければいけません。

最初は断っていたオラヴィですが、レアに説得され、オラヴィは渋々、承諾します。

そんな時、仕事仲間の友人と、オークションに出される美術品を見に行ったオラヴィは一枚の絵画に心を奪われます。

絵画にはサインが記されておらず、誰が描いたのかが分かりません。

しかしオラヴィはこの絵は間違いなく名画であると信じて疑いません。

彼の留守中に売った絵で儲けを出した孫に商売の才能を見たオラヴィは彼と共に絵について調べます。

オットーのスマホと機転のある行動で、絵はロシアの有名な画家イリア・レーピンの作品である事を突き止めます。

金など持ち合わせていないオラヴィでしたがオークションで、その絵を何とか落札し、落札金を期限までに支払おうと、あの手この手を使います。

果たして絵は手に入れる事が出来るのか?
何故サインが無いのか?

じいちゃんと孫、父親と一人娘と、家族との関係も描いているのですが、
僕には、幾つになっても夢を追い続けるバカな男、(オラヴィ)と、
現実を見据え、地に足をつけて生きている女(娘のレア、別れた妻)の違いを見せつけられた気がしました!

僕も男なのでオラヴィの気持ちは痛い程分かります!
「最後の賭け」とかに美学を感じます!

それによって振り回され、悲しむ嫁や娘に申し訳ない気持ちになるのはもう、賭けた後なんですよね💧

ラストシーンは素敵でした!

家族に迷惑ばかりかけ、どうしようも無いけど、美術品をこよなく愛し、そんな自分に誇りを持つ男、オラヴィの不器用な生き様に拍手を送りたいです!