特濃ミルク

第七の封印の特濃ミルクのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
3.5
 舞台は10世紀のスウェーデン。十字軍の遠征から帰還し海辺に佇む騎士の前に、黒衣を着た「死」が現れる。もうお迎えに来たんか…、まだ心の準備出来てへん。ということで、騎士は寿命を延長させるため死神にチェス♟️バトルを挑んで時間稼ぎをしつつ、魂の救いを求めてペストの蔓延する祖国を旅するのだった…。
 現代は今のところ戦争もなく医療も発展しているので、この映画のように死と隣り合わせの状況になる事は、まあ少なくなった。危険だと判断されたものはどんどん取り除かれ、平均寿命もずいぶん延びている。よほどの事がない限りは、まあ死なない社会だ。
 それでも黒衣を着た「やつ」が確実に近づいている事、もう既に隣にいるかもしれないって事は常に忘れちゃいけない。ひょっとして明日目を覚ましたら隣で寝てやがるかもしれないし、現実でそうなればチェスを挑むことすらできないのだ。あなたはいざそいつがやって来た時、それをジタバタせずに受け入れられる準備が出来ているか?と、そんなことを考えさせられる映画だった。いわゆるメメントモリか。
 …主人公が葛藤するテーマである、神や霊の不在についてはよく分からんが、要するに死後の世界が在ってほしいという願望なのだろう。…たしかにそれは分かる。死んだ後の虚無はクソ怖ぇ。真っ暗闇が続く永遠の、無限の、虚無の時間を思うと、本当に叫びたくなるほど怖い。いや、虚無だから闇や恐怖すら感じないのか。…そうすると何も分からないから余計怖ぇ…。
 何やかんやで死を忘れないようにはしてるんだけど、いざ目の前に突きつけられるとジタバタ抵抗しちゃうんだろうなぁ。とりあえずチェスの練習するか…。
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