風ノ助

第七の封印の風ノ助のレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
4.5
疫病が蔓延り魔女狩りが行われ人々が終末だと口にする中世での話
タイトルは世界の終わりを扱ったヨハネの黙示録の一節から取られている

十字軍の遠征を終え帰途につく騎士アントニウスは死神と会うがチェスの勝負を申し出て死を先延ばししてもらう
死ぬ前に神は存在しているのか知りたいからと

「なぜ神はお隠れになるのだ」と悩むアントニウスに対し「神は隠れていても悪魔がいるから寂しくないぜ♪」と唄う従者ヨンス
ヨンスはめっちゃ語ります
「十字軍は愚の骨頂」「教会が繁盛」「この世のものが全て不完全だとすれば愛こそは完全な不完全」「女はいてもいなくても一緒、楽しいうちに殺すのが一番」「ヨンスの世界はヨンスだけの世界」
聖戦や教会を皮肉ったりと達観していてセリフ萌えしたのでメモするためにもう一度観ました

途中二人は妻子を愛する陽気な旅芸人のヨフと出会う
ヨフは他の人には見えないものを見ることができるので彼には神は当たり前に存在している
シンプルで純粋で幸せそう、アントニウスとは真逆の存在
村の人たちもどうせ終末なら美味しいもの食べて死にたいねーって明るい

キリスト教のことや時代背景の深い理解はできてないけどコミカルに表現されていて面白く観れました

ストーリー性は薄いけど死神と出会う海岸、煙と共に現れる苦行者の集団、手を繋いで踊りながら死神に連れていかれる一行のシルエットなど各シーンの画力が強烈
構図や光の当て方が素晴らしくて理屈じゃなく感動する
終わり方もなんかスッキリしててよかった
風ノ助

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