このレビューはネタバレを含みます
どうしようもなく刺さった。
何かドラマチックな展開があるわけではなく、ともすれば中盤には少し退屈を感じるほどの普通のよくある恋愛を描いているだけなのだけど、だからこそあまりにもリアルに感じた。
ご都合主義的過ぎるところは、この手の映画の例に漏れずたしかにあったけれど、それは決して嫌な感じではなくて、ギリギリあり得るかなというレベルで。(文庫本のくだりとか)
自分が音楽とか小説とか漫画とかそういうサブカル寄りの人間で年代もほぼ同じで、主人公に共感できる部分が多かっただけかもしれないけれど。
「花束みたいな恋をした」という題名は終盤の別れ話をした後の3ヶ月間に最も表れていると思う。あの辺りのシーンは本当に泣いた。涙が止まらなかった。上手く説明出来ないが、とても美しいと思った。
細部に関しても、一瞬映される靴の並べてある向きとか、小物の映し方とかすごく凝っていて、全てに2人の心情が投影されていてよく出来た映画だと感じた。
クロノスタシス、羊文学、今村夏子、ゴールデンカムイ、、
引用される創作物のラインナップも絶妙。
これから何度も観る映画だと思う。