◎あらすじ◎
終電を逃した麦と絹。趣味と価値観が同じということから意気投合する。2人が出会ってからの5年を描いたリアルロマンス映画。
◎感想◎(長いです)
一言で表すと、”喪失感”を感じた映画でした。
書き留めておきたいことが沢山あるのでまだ映画を鮮明に覚えているうちに。起承転結で感想書いていきます!
〜起〜
予告編からハッピーエンドではなさそうだなと思いつつ鑑賞。
やはり始まりから2人の空気が別れた後だったので終わりから遡っていく映画なのだと確信してからどんなイチャコラと別れがあるのかとドキドキしました。
大学生になると自分は”普通”で”平凡”っていうのを客観視できてくるんですよね〜。でもどこかで自分は”スゴイ”って思う節もある。麦と絹も一緒でした。ここでもう感情移入スタートでした。笑
〜承〜
趣味の中でも好みってあるじゃないですか。それが完全に一致したら会話も盛り上がるし、相手が自分の恋愛対象だったら恋に落ちるに決まってる。笑
価値観って服装とか外出先にももちろん出ますよね。絹も麦も服には無頓着で趣味はこだわり強め。ボロボロの靴でも服装も着れたらいい。デートは素敵な場所に行くより、気張らなくていいファミレスで趣味を語りたい。
“まだこの気持ちを上書きしないで”
この言葉に共感した人は多いと思います。楽しかった後は余韻に浸っていたい。坂本さんはこういう些細な感情を丁寧に表してくれますね。
からの絹ちゃんと麦くんのイチャイチャ。
見てるこっちがなんだか気恥ずかしくなりました。笑(クラスのカップルにイチャイチャすんなよ〜って照れながら言ってる取り巻きの気分でした)
〜転〜
学生の頃って恋人の一言で人生に関わることだってあっさり決断できちゃうんですね…。恋の力、恐るべし…。
でも本当に苦しい時にみんなやってる、乗り越えろ、だとか言われるより、止まっていい、やめていいって、周りの目とか評価じゃなくて自分を大切にしてって言ってくれる存在に救われるんだよな。
前者のまま進めた結果、その時よりさらに追い詰められて自ら命を…ってことだってある。それなら周りから逃げだって思われようと自分のことを大事にする方がよっぽどその後心が健康なんですよね。
(話が脱線しそうだから次!)
〜結〜
麦も絹も悪くないんだよなぁ。学生から社会にでると、周りの環境が変わるからもちろん価値観も変化する。
麦は”自分がどうあるべきか”を選び、営業という激務で今まであんなに没頭していた趣味も二の次どころか、考えることさえなくなってしまった。
絹は”自分がどうしたいか”を選び、好きなことを仕事に、趣味も変わらず好きで自分の時間を大切にしている。
就職してから麦くんになった人って多いんじゃないかな。麦くんはつい喧嘩で絹ちゃんに酷いこといってしまったけど、本当は絹ちゃんがどこか羨ましかったのではないかと思いました。
そして別れ。
会話が減って、気がつけば後戻りできないほど心の距離が出来ていた。
価値観が変わってしまった2人では結婚しても幸せになれない、という絹ちゃんに対し
今の2人は結婚した後の夫婦みたいなものだ、だから結婚したら全てうまく行くという麦くん。
そこで若い男女が座っていたあの席に。
あの頃は2度と戻ってこないという現実を突きつけられ、2人が号泣するシーンでこちらの涙腺も崩壊しました…。
別れた後の同居は気まずいけど、やっぱり本質的に似ている2人はなんだかんだ和気藹々と暮らしていて、今まで2人を見てきたから別れ話で心が傷んだものの、なんだかホッとしました。
花束は美しいものだけど、もちろん枯れる。でもその一瞬の美しさという儚さと、花束を貰ったという記憶は一生忘れられない。絹ちゃんと麦くんの恋のお話でした。
ここまで読んでくれた方いたら拍手を送ります、馬鹿みたいに長くてごめんなさい!
感情の変化、価値観の変化が本当に丁寧に描かれていて感情移入し、苦しい部分もあったけれど私にとっても花束のような映画でした。
追記: 劇中ビールもしっかりアサヒを飲む菅田くんでした。笑