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花束みたいな恋をしたのngのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

私情全振りの感想

---以下観てる最中に思った感想---

「周りの人となんかズレてる」
「社会に馴染めない」
みたいな人物像を一貫して描いている坂元裕二の作品が世間にこんなにも受けるなら、なんでもっと他人を慮った/他人の『ズレ』を許せる社会にならないんだろうってちょっと思うけど、でもそれはそうだろうと思い直した。
この社会に生きてる人間が全員坂元裕二のドラマに出てくる人間だったら、そりゃうまくなんかいかないし、この現実のありさまになる。
坂元裕二が描くキャラクターのように、「なんでそこでそうするの」ってみんながみんな相手に対して思ってるからこうなっている。
みんな隣人を「おかしい」と思いながら生きている。
知らないカップルに対して「なんでイヤホンを半分こにして音楽聴くの」と思っていたふたりが惹かれ合ったとき、イヤホンを半分こにして音楽を聴いた。
そういう描写が本当に上手いと思う。
誰もが誰かを見下していて、でも結局は同じ穴の狢の、共感できる恋愛系ブロガーが自殺したことに衝撃を受けるくらい青臭い大学生の恋。

---以下観終わった後に思った感想---

観た後はもっと違う感想になった。
私がいま、この年齢になったからこそ胸を打たれた。
「きっと今村夏子のピクニックを読んでもなにも感じないんだよ」
「俺ももうなにも感じないかも」
という台詞に。
結局、本当に悔しいけど大好きだ、この手のたぐいの「ハッピーエンド」が。
急に気づいたけど、私が「始まらないこと」「終わりが始まること」に強烈に惹かれるのは、それが「永遠」だからだ。
始まったら終わる、私はその一点がとにかく怖くて、だからこそ終わりの始まりをポジティブに描く坂元裕二のシナリオを愛しているんだ。
それをこの映画で強く自覚した。
ふたりの「終わり」は明るくて、永遠だ。
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