caramel

花束みたいな恋をしたのcaramelのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

私は絹ちゃんの抱えたモヤモヤをそのままにしながら、「別れたくない」と言う麦くんの手を離せないまま結婚してしまったようなタイプなので、このふたりはこのあとどうなるんだろう?と思ってしまった。

でもやっぱり、経済っていうのは
こういう恋愛とも全然無関係じゃないっていうのを描いているところが、
どうしても気になってしまう。

結局、麦は自分のアイデンティティを押し殺しても(そんなつもりはもちろん彼はなかったのだけど)稼がなくては生きていけない環境で。絹ちゃんと一緒にいるため、と言ってはいたけれど、たぶん絹ちゃんがいなくても
あの状況ではそうせざるを得なかった。
仕送りが無くなってしまったし。

それでも、絹ちゃんに夜の仕事をさせたりしないように、自分が、と踏ん張ろうとした麦くんの愛を、絹ちゃんはあのときはわからなかったんだと思う。
余裕がない人がダサく見えて。
余裕に溢れたオダジョーがかっこよく見えたんだろうな。

圧迫面接で泣いていた絹ちゃんと
取り引き先に唾をかけられても耐えた麦の立場は逆転した。
ラストシーンではまたそれがひっくり返りつつあるようにも見えた。
そのボールはずっとどちらかに傾き続ける。

彼らがそのままずっと一緒にいたような
人生を送っている立場から、
私は、この選択間違ってないのかもなぁと思った。でもそう思うのにも、余裕が必要なんだよね。

もっとやりがい搾取がなくなったり、
おかしなことが「偉い人なんだよ」で片付けられない社会でなくては、
豊かな文化や音楽や本や気持ちや感性で繋がる恋愛も、そういうものが死んでいってしまう..そんなことを思ってしまった。
caramel

caramel