げ

花束みたいな恋をしたのげのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

よかったかと言われると答えに窮す。
話自体は好みではなかった(登場人物の行動の無責任さ不合理さにイライラしたので)が、ひとつの”現代の若者”像を示したという点で興味深い映画だとは思った。この映画自体にではなく、これを見てなにを感じたかを誰かと話すことによって面白さが生まれるような作品なのではないだろうか。ということでわたしの所感をつらつらと書いておく。

冒頭に書いた通り、話自体は好みではなかった。わたしはどちらかと言うと緩急の激しいドラマティックでフィクションじみた話が好きだから趣味嗜好に合わなかったというのもある。加えて、登場人物に魅力を感じることもできなかった。「同じ」ばかりに焦点を当て「自分と同じ相手=自分」を賞賛し絶対の価値を信じ込む麦も絹も愚かに見えた。人間関係において、同じところを喜んで相手に己の虚像を見出すより、互いの違いを探してそれに至った背景を語り合う方が楽しくないか?
二人の無責任さも嫌悪感があった。行きたいお笑いライブがあるなら男なんかに流されず行けよ。働く気もないフリーターが捨て猫を拾うな。イラストの対価に不満があるなら動け。人間が完全に合理で動いていると思うほどわたしも完璧な人間ではないが、合理性と整合性というものをどこかに落としてきたのかと思う二人は、社会を嘆く前に一度自分の行いを振り返った方がいいのではないだろうか。


というのが、物語に対するわたしの感想だ(正直まだまだある)。でも、この物語自体にエモさとか共感とかそういうものを抱いた人もいるのだろう。わたしと同じように嫌悪感を抱いた人も、もしかしたら気になったところは違うかも。こうやってそれぞれの人生観やバックグラウンドを浮き彫りにする手段としてこの作品は非常に面白いものだと感じるし、仲の良い友人にこそ勧めたい。
げ