しんたろー

花束みたいな恋をしたのしんたろーのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5
余韻に浸りたくなる何気ない会話や機微で綴るたった5年間のなんの変哲もない物語。
大きく揺れることもなく、小刻みにそれでいて確実に積み重なっていたものが崩れ落ちるきっかけすら与えずに風化していくその様は、やはり万人にとってのリアルであり、はたまたそこにメインでない”サブ”カルチャーのエッセンスをふんだんに散りばめることによって、この作品を理解できることイコール自らにセンスがある、と思わせてくれる、思いたい人たちがこぞって評価をしたのだろう、いくら坂本裕二脚本だからって、興行収入なんかの評価が紐づく作品になり得たのは、その絶妙な悪戯心をくすぐったからなのだろう。
わかりやすくそんなサブカルを知ってることが”おしゃれ”への第一歩だと躍起になって知識を詰め込んだ若気の至りから、結果的にそれが血肉となってしまっている自分からすると、そのどれもがグッとくるチョイスであり、むず痒くなる程に光り輝いていた。
有村架純にきのこ帝国やフレンズを歌わせたことに関しては優勝案件だし、インスパイアソングということで本編にもエンドロールにも流れない”勿忘”を流行らせたAwesome City Clubにも賛辞を送りたい。
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