ワーニャおじさん

花束みたいな恋をしたのワーニャおじさんのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

サブカル好きは集団の中じゃマイナー寄りだから、嘘みたいに趣味の合う仲間に出会うのはかなり奇跡だよな。


恋人の始まりから終わりの、坂元裕二の「あーあるよなぁ、そうなっちゃうよな、タイミングとかなぁ」が絶妙だった。結構現実感を考えて、客観的に大きな事件は出さずに一般的な恋を描いていたと思う。

麦が「別れたくない、結婚しようよ」と言ったところが一番悲しかった。男性はそれまでの冷めきった期間のことを忘れたように相手に縋りたくなって、女性は1度見切ったらそれまでになって、こういう性差を唱える人は多いし、そう感じる人は多いよなぁ。麦は打算的ではなく本当にそう思って、寂しくて取り戻したくて仕方ないんだろうなと感じた。でも見ていて「今更?」と思ったし、絹はふっと笑みを薄くして。あれは憐れみもあると思う。もののけ姫のアフレコシーンの、モロが元恋人である乙事主に送る、憐れみの声色のことを思い出した。

別れたあとの3ヶ月間の同居生活も、恋人ではなく友達(知り合い?)になったことで麦も気を楽にして趣味に触れながら過ごせたのかなと思った。結局はお金が無かったから解消するために就活して、最後には価値観のすれ違いで離れてしまった。就職してから、''お金は男が稼がないと''というプライドとプレッシャーが麦に起こったのかな。

花束みたいな恋をした、出会いがピークでだんだん枯れていく。麦が仕事一筋になったのが良くなかったのか、絹がもっと麦に寄り添えば良かったのか。絹は仕事と趣味を両立しているみたいだったけど、もしかしたら麦と比べたら稼ぎは少なかったのかもしれない。フリーター2人暮らし生活をずっと続けるのは限界があるけど、どっかが違えば気持ちは変わらずに居られたんだろうね。