映画内外に様々な逸話を持つ、70年代を代表する映画の一つ。
やっぱりイーストウッドがめちゃくちゃ渋くて格好いい。
本作で印象的なのは、頭のおかしい殺人鬼のスコルピオ。
人を笑いながら殺したりする快楽殺人鬼だ。
直接的な描写は無いものの、時代背景等を見てもベトナム帰還兵であるという考察が多い。
本作が公開された71年は、まだベトナム戦争が終わる前、
アメリカでは帰還兵の問題が大きなトピックだったのは言うまでもなく
「タクシー・ドライバー」は76年、
「ディア・ハンター」は78年、
「ランボー」は82年だった事を見ると、この先見性は鋭い。
彼の使っている武器も日本軍の銃やドイツの銃だったりして国籍もバラバラ。 劇中の終盤で彼の部屋が少しだけ映るが、ここにも特に帰還兵を匂わせるアイテムも無く、彼が最初に履いていた靴が落下傘兵のブーツだということが、視覚的な唯一の手がかりである。
そして、英wikipedia の出典によると脚本家の一人であるジョン・ミリアスは本作のベースが黒澤明の「野良犬」であるとを述べている。
そう、「野良犬」もまた帰還兵(復員兵)が追われる話だ。
だが、スコルピオが本当に帰還兵なのかは、ほんとの所はわからない。(脚本家も明言はしていない模様)
個人的には、この”わからない”得体の知れない所が恐ろしくて強烈なキャラクターになっていると感じる。
ハリーの敵として申し分ない凶悪犯で、こういうイカレポンチがぶっ殺されるとスカッとするのが人情だろう。
ラストシーンは、ハリーが警察を辞める事を示唆するような演出にも見てて取れる。続編の構想はあったのだろうか?