パン

ダーティハリーのパンのレビュー・感想・評価

ダーティハリー(1971年製作の映画)
4.4
サンフランシスコが舞台のサスペンスドラマ。
この映画の犯人はシスコ市民を震え上がらせた実在の連続殺人鬼、ゾディアックがモデルになっている(ゾディアック自体もフィンチャー監督が映画化してる) 

この時代くらいの若イーストウッドかっこいいな!
この人は西部劇だと無法者役とか多いけど、舞台が現代なら刑事役のほうが似合うな。というかスーツが似合う。 
ドン・シーゲル監督作に良く出てるよね。

この映画から53年経った2024年の今でもイーストウッド現役なの凄すぎ。
恐らく誰も予想してなかっただろうな。
 
ゴールデン・ゲート・ブリッジ、コイトタワー、アルカトラズ島、ケーブルカーと坂の風景、やっぱシスコの街並みは美しい。
現代のシスコは色々と酷いけど。
そういやイーストウッドは同監督のアルカトラズからの脱出にも出演してるしこの街が舞台の作品と縁が深いな。

ダーティハリーは白人刑事が黒人強盗を容赦なく射殺してたり今ならまずいんだろうなって描写が結構ある。 
まあ人種逆ならOKなんだろうが。 

投身自殺を止めるシーンが一番のお気に入り。
全体的に主人公は犯人にラジコンされすぎなように見えた。
70年代映画の暗い雰囲気とひたすら刑事が走らされるエンタメ感、この二つが微妙にずれてる気が若干したかな。

この犯人も知能が高いのか低いのかよくわからん絶妙なラインの人物。
バスジャック中に子供たちに無理やり歌わせるの狂ってて怖すぎたな。 
イーストウッドが追い詰めた犯人に拳銃突き付けて、犯人が抵抗するため銃を手にするか迷ってる時に「考えてるな。弾が残ってるかどうか。実は俺もわからないんだ…だがこれは特製の大型拳銃だ(44マグナム) 脳みそが飛び散るぞ。 よく考えろ。弾が残ってるかどうかを。どうだクズ野郎」 
この一連のセリフは結構有名だよね。

観たあとに完全にスカっとしないのも実にアメリカンニューシネマっぽい。 
警察という組織の歯車として勤めることの限界さ、無力さを感じる終わり方は"破壊!"に通じるものがある。 
主人公もこの映画のラストシーンまでに色々なことを体験しすぎて既に病んでるんだよね。

回りくどいこと書いたけどめちゃくちゃ面白いよ。
本作こそが70年代刑事ドラマブームの火付け役的存在だと感じる。
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