あきかず

ゴースト・ヴィレッジ 憑依村/ゴースト・ヴィレッジ 隠された殺人のあきかずのレビュー・感想・評価

3.5
評判が良くない理由もすごく理解できるが、私は本作が割と好ましく視聴できた。

本作はホラーとしてしまうと、確かに非常に低刺激。
刺激的な殺人や死亡シーンは特に無く、何かが起こりそうで意外と個人の感情は個人個人で処理されて他の人への害に意外と繋がらない。
怪人や怪物も登場しない。
森からの影響もしっかりと原理を説明されるわけではないし、思わせぶりなことばかりいってしっかり説明をしてくれないおじいちゃんにもイライラしないこともない。
非常に曖昧模糊。
ハッキリしない。
なのでコントラストがハッキリしやすいホラー映画としてはとても評価されにくい構造になっていると感じる。

この作品からは「インスマスを覆う影」のエッセンスを多く感じる。
コズミックホラー「クトゥルフ神話」の系譜から「人間には理解できない」あるいは「道理を導き出せない」現象。
「何故夏至なのか?」という疑問そのものが誤り。
ただ、”そう”であるのが”夏至だっただけ”なのだ。
「インスマスを覆う影」で主人公が自身の系譜に辿り着いたように「抗えない流れ」がジェイクたちにあったように思えた。
予定調和やご都合主義とも捉えることが出来る話ではあるが、そういう「人にはどうしようもない破滅への道筋」が本当にあったとしたら、それこそ恐怖だと私は感じた。
対策である、「負の感情を自分の中で消化すること」というのも言うは易し行うは難し、だ。
アーミッシュという生き方を選択する人々であればその土地を離れることが出来ないのかも、とは想像に難くない。
旧時代的な生活スタイル故に「共生する以外の道がなく」、「その対策も困難」と愚かに感じるだろうが、エイモスが境界を跨いだことで現代的な生活様式であろうと逃げ場は失く、破滅的な展開が決定付けられていて登場人物たちの行く末ではなく、視聴者である私たちへの危機へと繋がっている。
あきかず

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