"クソ人生へようこそ"
今年ベスト級。
派手な出来事は一切無い静かな作品だが、美しい映像とともに人生観が変わりうる力強い言葉が止めどなく押し寄せる。
一言一句を逃したくないと思わせる映画だった。
名優ホアキン・フェニックスと風変わりな少年ジェシーを演じるウディ・ノーマン君の自然体な演技によるドキュメンタリックさが非常に効果的であり、観ている私たち全員の物語なのだと強く共感させる。
年を重ねるといくつものトラブルを抱える。
家族の介護や病。
それが兄妹間のわだかまりを生んでしまったり。
目をそらしたいことだらけ。
そのうち大人は現実を誤魔化すようになる。
しかし、子供たちはそんな大人たちから全てを見て、感じ取っている。
誤魔化すことをしない子供たちは鋭く大人に問題を突きつけてくる。
子供たちは未来や人生についてしっかりとした考えを持っているものだ。
それでも子供ゆえの脆さもあり不安定。
大人は子供とどう接すればよいのか。
人と人は完全には理解できない、それでいいのだ。
先へ先へ進むしかない。