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ミッドナイトスワンのesewのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.0
2021.6/19 no24

草彅剛、演技意外と上手くないんだなと思った。SMAP時代は、剛の良さがでるように剛のパーソナリティにあった配役や演技指導、撮影プランがあってかなりアシストされてたんだなと。

草彅がヘテロセクシュアルかどうかはわからないけど、どんなにいい演技でもリリーのすべてのエディレッドメイン同様にトランスジェンダーではないのはほぼ明白なので評価は上がりにくい前提はあるんだけどそれでも普通に演技がイマイチ過ぎた。日本のオネエと言われる人との接点も芸能界で数々あっただろうに、観察眼自体がイマイチなのかも。

主役の女の子をバレエ技能主体で選んで、役自体を無口にしたのは素晴らしいアイデアだったなと。バレエシーンの力強さが凄かった。

少女同士の良かったよ、良くないよ4往復のシーンがかなり好き。

草彅のオムツシーンの画ヂカラもインパクトあった。

バレエ教室の先生に無意識にお母さんと言われた時の幸せ感、あそこにクライマックスがあった気がした。全ての当たり前を奪われて、生きてきた人間が、当たり前に既存の役割に当てはまって受け入れられたと認識できた瞬間の充足と安堵。それがずっとずっと奪われたままで生きているということを逆説的に明示したシーンによって心にズシンと来た。

主人公が草彅が勤めるショーパブでバレエを披露した時に草彅が見入るシーンにも、自分には届くことのない完成された女を体現してる主人公への絶望と憧憬とが同時に描かれていて良かった。あそこで主人公をバレエの世界に羽ばたかせることが草彅演じる役が自分では生きられない人生に自分を関係させる唯一の方法であり救いであったのだと思う。髪を切った後に、そこをそれは違うよともう一回主人公に押し返させた展開、そしてその主人公の真っ当で寄り添った正しさが最終的な必然的悲劇を生むという展開も良かったように思う。


ただ、場面が少ねえ。部屋、実家、バレエ教室、ショーパブの5つをグルグル回ってて予算不足の方が印象づけられてしまう。あとやっぱり全般的にみんな演技がイマイチで役を演じてます感が立ってて不自然。そこが残念。
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