映画男

ミッドナイトスワンの映画男のレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
2.5
そんなに良い映画じゃない。どこがダメだと思うのか、ずっと考えていたんだが、まだはっきりとはいえない。題材としては嫌いじゃないのだが。書きながら考えてみる。一果は育児放棄された母親から抜け出して、転校先で男子に揶揄われても椅子をぶん投げてやり返す。この時点で、彼女はたくましい自立した女であることが伝わり、ほっといても成長していくんだろうなとわかる。案の定、バレエでも才覚を表す。一方で草彅くん演じるショーパブのおかまは、堕ちて堕ちて、堕ちまくるわけだが、これも観ているうちに察しがつく(草彅くんには常に暗い影がさしている)。終始、一果は上昇して草彅くんは反比例で下降していく。その一辺倒である。これがつまらない。例えば、一果と出会うことで草彅くんが上昇していく。仕事も生活も充実していく。一果は学校に馴染めずバレエでもつまずくとする。その後、草彅くんは整形手術の後遺症がきっかけでゆるやかに堕ちていく。堕ちた二人は海にいく。いや、海にいくのは草彅くんだけでいいな。その後、一果は奮起してバレエに打ち込んでささやかな成功をおさめる。こんな感じだったらまだ多少見応えがあったかもしれない。一果はジェルソミーナで、草彅くんがザンパノ。「道」がジェルソミーナの物語であるように、今作も一果の物語だったんじゃないだろうか。草彅くんはそんなに見せなくても良かったんじゃないだろうか。どうだろう。
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