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ミッドナイトスワンのFAZのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.2
なりたいものに、自分の努力だけでは簡単になれない人たちがいる。

そんな、世の中から弾かれて、それでも必死に自分らしく生きようと頑張っていた凪沙の目の前に現れた一果。

自分と同じ側の人間だと思っていた一果が、才能を見出され、なりたい自分になっていく姿は、きっと凪沙の希望や夢の姿でもあったんじゃないかなと思う。

母として、女として生きることを教えてくれた一果の存在は、凪沙にとって全てを投げ打ってでも守りたいものだったし、母親からネグレクトを受けて育ってきた一果にとっても、凪沙の存在は生まれて初めて、自分に見返りを求めない愛情をくれた存在で、そんな2人の関係性がとても良かった。

ふたりの距離が縮まっていくにつれて、現実の厳しさ、トランスジェンダーの苦しみが描かれていて、胸が苦しくなるシーンが何度もある。
今のファッションLGBTQの風潮にビンタを食らわせてくるような作品だなと思った。

日本アカデミー最優秀主演男優賞を受賞した草彅くんの演技は、SMAP解散後に、自由に好きなことをやれない不自由さみたいな背景も相まって、一層凪沙の演技の説得力が増したように思う。

2024年映画初めがこの作品で良かった。
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